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cpapとは?新生児に対する持続陽圧呼吸療法について解説します
2022.10.11
早産の新生児で呼吸障害がある場合…。 どのような治療を行うの? このような疑問にお答えします。
この記事では、早産の新生児に対する呼吸補助のひとつ「cpap(シーパップ)」について解説していきます。後半部分では「早産の新生児に起こりやすい呼吸器の病気・トラブル」についても解説しておりますので、ぜひ最後までお付き合いくださいね。
cpapとは新生児に対する呼吸補助です
cpap(シーパップ)は、早産の新生児で呼吸障害、呼吸困難症状のある患者さんの「日常的な挿管」および「侵襲的換気」を置き換えるものです。非侵襲的な呼吸補助を提供する最初の方法として推奨されております。cpapは「Continuous Positive Airway Pressure」の頭文字をとって「cpap(シーパップ):持続陽圧呼吸療法」と呼ばれています。cpapについて詳しく知りたい方は「新生児に対するcpap療法について解説しているサイト」、もしくは「早産の新生児の呼吸窮迫に対する持続的気道陽圧(cpap)の適用」をご覧ください。
※侵襲的換気(しんしゅうてきかんき)とは呼吸補助の方法であり、 新生児および小児患者の自発呼吸を、気管内チューブ(ETT)などの人工気道に置き換えるものです
※非侵襲的(ひしんしゅうてき)とは「生体を傷つけないような」という意味です。
cpapとは新生児に対する呼吸補助|仕組みについて
cpap療法は、密閉されたインターフェースを介して、呼吸サイクルを通して持続的に圧を保ちながら、加温加湿された酸素と空気の混合ガスを供給します。十分な密閉を得るために、適切なサイズのインターフェースを選ぶことが重要です。cpapを行う際に最も一般的に使用されるインターフェースは、短い両鼻プロングまたは鼻マスクになります。cpapの仕組みについて詳しく知りたい方は「新生児および乳児における呼吸補助について解説しているサイト」、もしくは「新生児に対するcpap療法について解説しているサイト」をご覧ください。
cpapとは新生児に対する呼吸補助|バブルcpapはシンプルかつ経済的な方法です
cpap療法のひとつである「バブルcpap」は、ガス交換の改善と二酸化炭素(CO₂)の除去につながる圧力振動を起こす点で患者さんに付加価値を提供します。圧力は呼気用チューブが沈む深さで設定します。バブルcpapは、早産児や低体重児を含め、新生児にcpap療法を行うシンプルかつ経済的な方法です。cpap療法は、バブルcpap、可変流量cpap、人工呼吸器からのcpapなど、いくつかの方法があります。cpap療法の方法についてご興味のある方は「新生児に対するcpap療法について解説しているサイト」、もしくは「日本周産期・新生児医学会のホームページ」をご覧ください。
cpapとは新生児に対する呼吸補助|効果について
ここでは、cpap療法の効果をご紹介していきます。
【cpapとは新生児に対する呼吸補助|効果1】呼吸仕事量を改善します
cpap治療の効果1つ目は『呼吸仕事量を改善する』です。cpap療法は、呼吸時に肺を拡張するために必要なエネルギーを減少させるため、呼吸仕事量を改善します。なお、呼吸仕事量とは、肺の弾性特性に対して肺の拡張に必要な力です。cpapは、呼気終末の肺容量が高まることが示されており、これにより吸気筋の負担を減らし、呼吸のための仕事量を減少させることに繋がります。
【cpapとは新生児に対する呼吸補助|効果2】FRC (機能的残気量)を維持します
cpap治療の効果2つ目は『FRC (機能的残気量)を維持する』です。cpap療法は、肺容量リクルートメントを改善し、適切なFRCの確立と維持に役立ちます。なお、FRCとは、安静時の呼気終末に肺の中に残っている肺気量のことです。この容量は、呼気の後に肺を開放状態に保つために重要になります。
【cpapとは新生児に対する呼吸補助|効果3】気道の湿度を高めます
cpap治療の効果3つ目は『気道の湿度を高める』です。cpap療法では、呼吸サイクルを通して持続的に圧を保ちながら、加温加湿された酸素と空気の混合ガスを供給します。そのため、自然な保護メカニズムをサポートするほか、気道粘膜と粘膜線毛運動機能を維持し、エネルギーを成長と発達にまわせるように温存します。
【cpapとは新生児に対する呼吸補助|効果4】侵襲的換気の必要性を減らします
cpap治療の効果4つ目は『侵襲的換気の必要性を減らす』です。初期の呼吸補助としてcpap単独の使用、またはサーファクタントを伴うcpapの使用は、挿管や侵襲的換気の必要性の減少に関係します。侵襲的換気は、30週未満の早産児で呼吸障害、呼吸窮迫症候群(RDS)がある新生児にとっては有効なものです。しかし慢性的な肺疾患の割合が高まる原因となるおそれがあります。そのため、侵襲的換気に関するデメリットにより、cpap療法などの非侵襲的換気法(NIV)がより多く開発されることになりました。
※呼吸窮迫症候群(RDS)は,新生児の肺における肺サーファクタントの欠乏によって引き起こされます。在胎37週未満で出生した新生児で最もよくみられる症状です。詳しくは次の項目をご覧ください。
cpapとは新生児に対する呼吸補助|早産の新生児に起こりやすい呼吸器の病気・トラブル
最後に、早産の新生児に起こりやすい呼吸器の病気・トラブルをご紹介します。
【cpapとは新生児に対する呼吸補助|呼吸器の病気・トラブル1】呼吸窮迫症候群(RDS)
早産の新生児に起こりやすい呼吸器の病気・トラブル1つ目は『呼吸窮迫症候群(こきゅうきゅうはくしょうこうぐん)』です。早産児は、肺を風船のように膨らませるために必要な肺サーファクタントという物質が、まだ十分つくられていないため、呼吸によって空気を十分に取り込めず、呼吸が速くなったり酸素不足でチアノーゼを起こしたりします。
【cpapとは新生児に対する呼吸補助|呼吸器の病気・トラブル2】新生児慢性肺疾患
早産の新生児に起こりやすい呼吸器の病気・トラブル2つ目は『新生児慢性肺疾患(しんせいじまんせいはいしっかん)』です。新生児慢性肺疾患とは、出生直後などに急性呼吸障害の治療を行った際、酸素や人工換気の影響により肺が傷んだために、その後も肺機能の低下が続いてしまう病気。気管支肺異形成とも呼ばれます。のどがゼロゼロしたり、かぜをひきやすくなることもあります。ほとんどの場合は、体重が増えて肺が大きくなる3歳ごろまでには治ることが多い病気です。
【cpapとは新生児に対する呼吸補助|呼吸器の病気・トラブル3】無呼吸発作
早産の新生児に起こりやすい呼吸器の病気・トラブル3つ目は『無呼吸発作(むこきゅうほっさ)』です。早産児は呼吸中枢が未熟なため、呼吸がときどき止まることがあります。20秒以上呼吸が止まったり、脈が途切れてしまったりしてチアノーゼが起きた状態を無呼吸発作といいます。
【cpapとは新生児に対する呼吸補助|呼吸器の病気・トラブル4】胎便吸引症候群
早産の新生児に起こりやすい呼吸器の病気・トラブル4つ目は『胎便吸引症候群(たいべんきゅういんしょうこうぐん)』です。胎便吸引症候群とは、羊水の中に赤ちゃんが胎便を出してしまい、それを肺の中に吸い込んだために呼吸障害を起こす病気です。酸素吸入や人工呼吸器で治療し、通常は1週間前後で治ります。
【cpapとは新生児に対する呼吸補助|呼吸器の病気・トラブル5】ウィルソン・ミキティ症候群
早産の新生児に起こりやすい呼吸器の病気・トラブル5つ目は『ウィルソン・ミキティ症候群』です。在胎32週未満、1500g未満の早産児・低出生体重児に多い呼吸障害で、新生児慢性肺疾患のひとつです。頻呼吸や胸を上下させる陥没呼吸、チアノーゼを起こし、無呼吸発作を起こすこともあり、高濃度酸素療法や人工呼吸器を使った治療が必要になります。肺の発育とともに自然と治っていくケースも多いですが、かぜなどの感染症にかかると重症化しやすい傾向があります。
まとめ
では、これまでの内容をまとめると
- cpapとは新生児に対する呼吸補助です
- cpapとは新生児に対する呼吸補助|仕組みについて
- cpapとは新生児に対する呼吸補助|バブルcpapはシンプルかつ経済的な方法です
- cpapとは新生児に対する呼吸補助|効果について
- cpapとは新生児に対する呼吸補助|早産の新生児に起こりやすい呼吸器の病気・トラブル
以上になります。
最後までご覧くださりありがとうございました。
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