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~大腸ポリープの解説~東中野いたやクリニック
2024.03.15
大腸を含めたポリープは多くの人ができる可能性のあるものです。癌に発展する可能性があるものの、早期に発見して取り除くことでそのリスクを回避することもできます。この記事では大腸ポリープについて詳しく解説していきます。
大腸ポリープの解説|はじめに
大腸ポリープの解説|ポリープや大腸ポリープとは何のこと?
大腸ポリープの解説|大腸にポリープができる原因は?
大腸ポリープの解説|大腸ポリープがあるとどうなるの?
大腸ポリープの解説|早期発見するには
大腸ポリープの解説|どのように治療するの?手術は必要?
大腸ポリープの解説|まとめ
大腸ポリープの解説|はじめに
2022年時点の日本人の死因の第1位は悪性新生物(腫瘍=癌)であり、2位以降は心疾患、老衰、脳血管疾患と続きます。
癌が死因の多くを占める傾向は1981年以降継続していて上昇傾向にあり、2022年においては全死亡者の24.6%を占めるほどとなっています。
また、同年の部位別がん死亡数は男性の第1位が肺がんですが、女性の第1位は大腸がんとなっています。男性に関しても大腸がんは第2位です。
それだけ罹る人も多い大腸がんですが、原因となるポリープを早期に取り除くことで癌の発病を防ぐことも可能と言われています。
この記事では大腸ポリープがどのようなものであるか、またできる原因や起こる症状、早期発見する手段、治療法について詳しく紹介していきます。
そろそろポリープが気になる年齢に差し掛かっている方、近いうちに内視鏡検査をするので詳しく知っておきたいという方はぜひご覧ください。
こちらの記事ではポリープが見つかった方、精密検査を受けた方、癌と診断された方などの様々な体験談が掲載されているため、あわせてご覧ください。
大腸ポリープの解説|ポリープや大腸ポリープとは何のこと?
ポリープは病名ではありません。皮膚・粘膜から盛り上がったイボ状あるいはキノコ状の突起は全てポリープと呼ばれます。
また、ポリープは大腸だけではなく胃や食道、子宮、胆のう、声帯、鼻などにもできる可能性があります。
さらに同じ部位にできるポリープでも様々な種類が存在する他、腫瘍性・非腫瘍性という分類ができます。
大腸にできる大腸ポリープに関しては、腫瘍性が良性の腺腫、悪性のがん2通りに分類することができ、非腫瘍性は過誤腫性、炎症性、過形成性ポリープの3種類に分類できます。
以上のことから分かるように、ポリープが見つかったからといって必ずしも切除手術が必要になるわけではありません。
そのため検査の際は、どの性質を持ったポリープであるかを見分ける必要があります。
以下に大腸ポリープの種類について詳しく解説します。
腫瘍性ポリープ
良性か悪性に分類され、良性の場合は「腺腫(せんしゅ)」、悪性の場合はがんとされます。
なお、かつて腺腫はどれもがんの前段階であるため摘出が必要と考えられていていましたが、実際はがんになるもの、ならないものがあることがわかってきました。
そのため現在は、可能性が高いものに絞って摘出がおこなわれるように変わっています。
その判断材料としては大きさが挙げられます。
腺腫の直径が1cm以上になるとがんになる可能性が非常に高くなり、成長と停滞を繰り返して少しずつ段階を経て大きくなっていきます。
多くの場合、摘出の判断は5mm以上とされています。
また5mmに達していなくても、形に陥凹があったり歪であったりする場合は摘出の対象となる可能性があります。
ただし良性であっても腫瘍性は高い増殖力がある他、がん化する可能性も0ではないため、医療機関によっては確認できたポリープを全て摘出対象とするところもあります。
非腫瘍性ポリープ
非腫瘍性には「炎症性ポリープ」「過形成性ポリープ」「過誤腫性ポリープ」の3種類があります。
炎症性ポリープは、潰瘍性大腸炎やクローン病による腸の炎症性疾患が原因とされるものです。
過形成性ポリープは、大きさが数mm〜1cm程度の白に近い色で、年齢を重ねるとできやすくなります。
過誤腫性ポリープは、特定の細胞が臓器内で過剰に増殖した組織奇形で、若い人に特に見られる傾向があります。
以上のうち炎症性と過誤腫性はがん化することが稀であり、過形成性の一部はがん化する可能性があるため早期に切除してリスクを防ぐことが求められます。
今回詳しくは取り上げませんが、その他の代表的な部位のポリープについて知りたい方は以下の記事などをご参照ください。
大腸ポリープの解説|大腸にポリープができる原因は?
大腸ポリープのうち腫瘍性ポリープは年齢や生活習慣が原因となる可能性が高いとされています。
年齢に関しては、特に30歳前半〜40歳の頃から歳を重ねるごとに発生頻度が高くなります。
生活習慣においては、赤身肉、加工肉、高カロリー食の摂取といった食生活・食事の欧米化、肥満や過度な飲酒、喫煙がリスクになると考えられています。
また、大腸に100個以上の腺腫ができる「家族性大腸ポリポーシス症」や、生まれつき大腸がんを発症する可能性が高い「リンチ症候群」といった遺伝的な要因もあります。
加齢や遺伝的な部分に関しては回避が困難なため検査による早期発見をするしかありませんが、生活習慣に関しては自分で改善できる部分です。
健康診断などで生活習慣の改善を指摘された場合は面倒臭がらずに実践することをおすすめします。
野菜や食物繊維が多く含まれた食品や適度な運動は大腸ポリープの予防に役立つと見られています。
こちらの記事では大腸ポリープができやすい人の特徴や持病について紹介されていたため、あわせてご覧ください。
大腸ポリープの解説|大腸ポリープがあるとどうなるの?
ここまででも解説した通り、大腸ポリープの一部はがん化する可能性があります。
しかし自覚症状がほとんど出ないため、特に小さいうちは検査をしない限り発見が難しいのが実情です。
ポリープの形や大きさ、できた場所によっては症状が出ることもあります。
便がポリープを擦って出血することで血便があったり、大腸の管腔がポリープで塞がれてしまうため便が細い、あるいは便意があるのに少ししか出なかったり、腸閉塞の症状が出たりという症状が起こります。
また血液をサラサラにする薬を普段から服用している場合、ポリープからの出血が止まりづらくなるため貧血になる危険性もあります。
なお腺腫の大きさが1cm以上になるとがん化する可能性が高くなると述べましたが、それは4分の1程度の確率でがん細胞が混ざるというデータが出ているためです。
1cm以上から1.9cmで約25%、2cm以上の場合は約35%というように大きくなる程にその確率が増します。
以上の理由から、今後がん化する可能性のあるものはもちろん、出血して貧血の症状が見られる場合、大きくなっていて便通が悪くなったり腸の動きを悪くしたりという症状がある場合も切除が望まれます。
こちらでは、大腸の構造についても解説されていたのであわせてご覧ください。
大腸ポリープの解説|早期発見するには
前述したように、大腸ポリープは多くの場合で自覚症状がでないため定期的に検査を受けることが重要となります。
大腸ポリープの検査方法として代表的なのは、便潜血検査と内視鏡検査です。
便潜血検査は便を採取して血液の成分が混ざっていないかを確認するものです。
この検査では血液の有無はわかるものの、ポリープの有無までは確定できません。
また、逆にポリープがあったとしても陽性とならない場合もあります。
良性のポリープの場合は10~30%程度、すでに大腸がんとなっている場合は90%以上の確率で陽性となります。
そのため、便潜血検査の結果を受けて内視鏡検査などの別の検査でさらに詳しく調べる方法もありますが、初めから内視鏡検査を希望して受けることも重要です。
特に大腸がんは40歳くらいから発症確率が上がるため、40付近の年齢に差し掛かった方は定期的な内視鏡検査をおすすめします。
大腸の内視鏡検査は「大腸カメラ」「下部消化管内視鏡」とも呼ばれ、肛門から内視鏡を入れて盲腸から直腸までの状態を確認できる方法です。
ポリープの有無や場所、大きさ、形、血管構造によってポリープの種類、深さを診断できる他、小さいものであればそのままポリープを切除することも可能です。
大きいポリープが見つかった場合は、内視鏡検査とは別の方法で切除を試みます。
内視鏡検査では、他にも大腸がん、大腸憩室、潰瘍性大腸炎、クローン病、大腸粘膜下腫瘍、感染性腸炎といった病気の診断が可能です。
なお内視鏡検査を受ける際は下剤で事前に大腸をきれいにし、医療機関または患者の希望によっては鎮静剤の投与を受けられるところもあります。
また、検査時間は個人差やポリープの有無によって差はあるものの数十分で完了することがほとんどで、大腸カメラが入っている時間においては10〜20分程度です。
ただし下剤や鎮静剤の投与による準備などの時間もあるので、予約をする際は医療機関に数時間程度は滞在することを予定しておくと良いでしょう。
便潜血検査、内視鏡検査以外の検査方法としては、注腸検査、CTコロノグラフィー、血液検査などがありますが、いずれも同時にポリープを切除することができません。
雇入れ時健康診断・定期健康診断といった企業で受けることができる一般健康診断には基本的に便潜血検査、内視鏡検査が含まれないため、別途希望して受ける必要があります。
便潜血検査に関しては対象項目に入っている場合もありますが、内視鏡検査に関しては自由診療となることを覚えておいてください。
内視鏡の基本的な検査の流れについて、こちらでわかりやすく解説されていたので、事前に詳しく知りたい方は参考程度にご覧ください。
大腸ポリープの解説|どのように治療するの?手術は必要?
良性のものと早期の大腸がんに関しては内視鏡検査時に切除が可能です。
切除方法には、内視鏡的ポリープ切除術(ポリペクトミー)、コールドスネアポリペクトミー(CSP)、内視鏡的粘膜切除術(EMR)、内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)と種類があり、ポリープの状態によって使い分けられます。
いずれも切開を必要としないため、外科手術に比べると身体への負担は少ないと言えるでしょう。
ただし内視鏡検査時に取り除くことが困難なポリープに関しては、お腹を切開したうえで大腸ポリープや周囲のリンパ節を切除する外科手術が必要となる場合があります。
さらにがんであった場合には、化学療法、放射線治療が採られることもある他、切除が困難な場合は人工肛門の造設が必要となることもあります。
また、治療に関しては合併症を発症する可能性があることも覚えておきましょう。
考えられる合併症としては、傷口からの出血と、傷口に穴が空く穿孔であり、発症した場合は輸血や手術が必要となります。
これら合併症のリスクを避けるため、術後1週間程度は飲酒や激しい運動を避けましょう。その他に医師から説明のあった術後の決まり事も守ってください。
治療についてはこちらの記事でも詳しく紹介されていたのであわせてご覧ください。
大腸ポリープの解説|まとめ
最後にこの記事をまとめます。
- 大腸ポリープが良性の場合は腺腫、悪性の場合はがんと診断される
- 必ずしも全部切除するわけではない
- 早期発見によってがん化を防げる
- 早期発見には定期的な検査が欠かせない
- 内視鏡検査時に同時に切除できるポリープもある
なお、東中野駅周辺で大腸ポリープの切除が可能な医療機関の一覧はこちらで確認できます。実際に治療が必要な方、今後に備えておきたいという方はぜひ参考にご覧ください。
大腸カメラの検査ができる病院を探している方はこちらのページをご参照ください。各病院の特徴についても紹介されています。
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