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消化器内科

~逆流性食道炎の解説~東中野いたやクリニック

2024.03.20

逆流性食道炎は特に中高年、高齢者で発症しやすい病気ではあるものの若い世代でも発症する可能性があり、近年は増加傾向にあります。この記事では、逆流性食道炎の症状や原因、治療法、予防法について詳しく解説していきます。

【目次】
逆流性食道炎の解説|はじめに
逆流性食道炎の解説|逆流性食道炎はどういう病気?現れる症状は?
逆流性食道炎の解説|逆流性食道炎になる原因は?
逆流性食道炎の解説|どのように治療するの?手術は必要?
逆流性食道炎の解説|予防法はあるの?
逆流性食道炎の解説|まとめ

逆流性食道炎の解説|はじめに

これまで逆流性食道炎は年齢を重ねた中高年、高齢者が発症する病気とされていましたが、近年は若年層でも増加傾向にあって生活習慣病の一つ、あるいは現代病の一つと言われるまでになっています。

逆流性食道炎自体は直接命を脅かす症状ではなく緊急性のあるものでもないですが、症状が悪化すると日常生活に支障が出たり、状態によっては食道がんになる可能性を高めたりする可能性があります。

そのため早いうちから正しく理解しておき、気になる症状があった際には迷わず早めに医療機関を受診して早期治療をすることが重要と言えます。

この記事では、逆流性食道炎の主な症状や原因、治療法、予防法について詳しく解説していきます。

すでに気になる症状が出ているという方、これからに備えて知識をつけておきたいという方はぜひご覧ください。

なお逆流性食道炎についての一般の方の悩みがまとめられたサイトがありました。悩みに関する医師の回答はアカウント登録しないと見られないようですが、参考程度にこちらも参照してみてください。

逆流性食道炎の解説|逆流性食道炎はどういう病気?現れる症状は?

朝起きた時に胸やけや喉に酸っぱいものがこみ上げてくる感じ(呑酸)、喉からみぞおちにかけてヒリヒリとした熱さを頻繁に感じる場合は、逆流性食道炎の典型的な症状が出ている可能性があります。

他にも呼吸器系の症状として、喉の詰まりや声のかすれ、口内炎、長く続く咳、夜中の咳、睡眠時無呼吸、喘息といったものが現れることもあります。

さらに狭心症のような苦しさ、胃もたれ・胃痛やげっぷ、腹部の膨満感、吐血といった症状が逆流性食道炎の原因であることも考えられます。

このように逆流性食道炎の症状は多様ですが、発症している人に必ずしもこのような症状が出るわけではなく個人差があります。

また症状が少なくても内視鏡で食道を検査すると内部に異常が見られる場合があったり、逆に症状は出ているにもかかわらず内視鏡検査検査では異常が見られないこともあり、タイプ別に分類することができます。

そのため、どのような経緯を辿って逆流性食道炎と診断されるかは人によって様々です。

こちらでは症状について簡潔にまとめられていたので合わせてご覧ください。

逆流性食道炎の解説|逆流性食道炎になる原因は?

食道と胃の境目には下部食道括約筋という筋肉があります。

正常な場合、この筋肉は食べ物を摂取する時に緩み、胃に入った後は食べ物や胃酸が戻らないように締める働きをします。

しかし人によっては加齢によってこの筋肉が緩み、食堂に逆流することで逆流性食道炎の症状が起こすことがあります。

胃に関しては胃酸の強い酸から守るために粘膜が張られていますが、食道は対応できるレベルの粘膜が備わっていないため炎症を起こしてしまうといった状況です。

この状態が悪化すると「食道裂孔ヘルニア」と呼ばれる状態になる他、本来の食道の粘膜である部分が慢性的な胃酸逆流によって胃粘膜へと置き換わる「バレット食道」という状態になってしまう可能性もあります。

バレット食道は食道がんになる可能性を非常に高める原因となります。

飲酒や喫煙の影響などで同じような状態になることもあります。

また早食い、肥満、猫背、締め付けが強い服を着る、多くの胃酸を分泌をしやすい高脂肪食の摂取するなどの習慣がある場合も発症を誘発します。

早食いをするとどうしても噛む回数が少なくなり、大きい塊のまま胃に食べ物が入りやすくなります。

そうすると消化に時間がかかり、逆流が起こる可能性が高まります。

肥満や猫背であったり、締め付けが強い服を着ると腹圧が上昇して胃の中にあるものを押し上げようとします。

これが逆流性食道炎の症状を誘発します。しゃがむ姿勢の時も同様です。

なお高脂肪食とは、例えば揚げ物やラーメン、カレー、ステーキなどです。

脂っこいものを食べた時に胸焼けを感じるといった経験がある人もいるのではないでしょうか。

これは脂っこいものの摂取でコレシストキニンという消化管ホルモンの分泌され、その作用によって下部食道括約筋が緩むためです。

コーヒー・紅茶・緑茶といったカフェインを含む飲み物、炭酸飲料、チョコレート、ケーキなども逆流性食道炎の原因となるので注意が必要です。

欧米での逆流性食道炎の発症率は40%と言われているのに対して日本国内での発症率は20%程度となっています。

そして近年発症率が増加していることからもわかるように、逆流性食道炎の大きな原因の一つに食生活やライフスタイルの欧米化が考えられます。

さらに本来良いことであるはずのピロリ菌感染率の低下が、却って逆流性食道炎の発症を高めているというデータもあります。

戦前のピロリ菌感染率は80%程でしたが、衛生環境の改善や除菌が徹底されるようになってから以降の1980年代生まれでの感染率は12%程度となっています。

衛生面の改善は良いことであり、実際に胃が健康になってその働きが活性化します。

しかしそれによって胃酸が活発に分泌されるようになり、逆流性食道炎が起こりやすい状態になったという状況です。

ストレス・睡眠不足・便秘といった生活習慣の乱れや、服用している薬の影響、持病のヘルニアなどにより逆流性食道炎の症状が現れることもあります。

原因についてはこちらの記事でもまとめられていたのであわせてご覧ください。

逆流性食道炎の解説|どのように治療するの?手術は必要?

まず逆流性食道炎の症状が現れた際に受診する科目は「消化器内科」が適切となります。

問診や胃内視鏡検査(胃カメラ)、PPIテストなどで総合的に逆流性食道炎と診断された場合は治療を進めます。

検査について

顕著に症状が現れている場合はある程度見当がつきますが、特定するために胃内視鏡検査を実施することが多いです。

カメラで見た時に胃と食道の境界部分に線状の赤みがあったり、潰瘍があったりする場合は逆流性食道炎と判断できます。

また、その範囲が広いほど逆流性食道炎の重症度が高いと言えます。

自覚症状があり、かつ食道に炎症もある場合は「びらん性胃食道逆流症」となります。

症状があるのに胃内視鏡検査では異常が見つからないという場合は、PPIテストという検査が実施されることもあります。

PPIテストとは、胃酸の分泌を抑制するプロトンポンプ阻害薬(PPI)を1週間続けて服用し、症状が軽減するかを確かめるものです。

このように症状があるにもかかわらず食道の炎症などが見られない場合は「非びらん性胃食道逆流(NERD)」となります。

カメラで異常が発見される確率は30%程と言われているので、症状があっても非びらん性胃食道逆流と診断される可能性は十分にあると言えるでしょう。

なお食堂の炎症は認められるものの症状が出ていないという場合もありますが、これは「びらん性胃食道逆流症」に含みます。

治療について

治療は大きく生活習慣の改善、薬物療法の2軸でおこなわれるのが一般的です。

ただしバレット食道の状態が著しく重症であったり薬物療法の効果が全く見られない場合などの時は外科的な手術を必要とする場合もありますが、稀です。

生活習慣の改善に関しては、逆流性食道炎を引き起こす原因となっているものを取り除くことが目的です。

そのため肥満の人は体重を減らし、便秘の人は症状を解消させ、脂っこいものばかり食べる人はバランスの取れた食生活を心がけて暴飲暴食を避けることが重要です。

生活習慣が乱れている人は規則正しい生活を送れるようにしてストレスを溜めないことも必要となります。

またアルコールや喫煙、カフェインを締め付けの強い服を避けることなども効果的と言えます。

具体的な例を挙げると、食事は腹八分目でお腹いっぱい食べない、食後すぐ横にならない、就寝直前に食事やアルコールを摂らない、適正体重を目指して減量する、高脂肪食や甘いもの、唐辛子といった刺激の強いものを避けるといったことが挙げられます。

薬物療法としては胃酸分泌抑制薬の処方がメインとなり、実際に効果が高いと言われています。

また胃・食道の中の食べ物を送り出す運動を亢進させる薬、それらの粘膜を保護する薬が併用される場合もあります。

薬に関しては症状が治ると自己判断で飲まなくなるという人もいますが、勝手に止めてしまうと粘膜の炎症が完治しておらず再発する可能性もあるので必ず医師に相談しましょう。

胃酸分泌抑制薬としては、テストとしても使用するプロトンポンプ阻害薬(ボノプラザン、ランソプラゾール、ラベプラゾール、オメプラゾール)やH2ブロッカー(ガスター、アルタット、アシノン)などが有名です。

こちらの記事では症状や検査結果、治療の経過についての実例が紹介されていたのでぜひ参考としてご覧ください。

逆流性食道炎の解説|予防法はあるの?

逆流性食道炎は自然治癒やある程度の改善も可能な病気です。

今回紹介したように症状の度合いと食道の状態は必ずしも一致しないため自己判断することはおすすめできないですが、生活習慣を改善することで症状を軽減できる可能性もあります。

もし違和感を覚えた場合は、医療機関を受診しつつ自分でできる改善を早いうちから初めておきましょう。

予防法は治療における生活改善と同じような方法となります。

お腹いっぱい食べない、消化の良い食事を摂る、就寝前の食事・アルコールを避ける、食後すぐ横にならない、胃酸の分泌が多くなる食品・飲料を避ける、腹圧がかからない服装にする、禁煙するといったことが挙げられます。

また寝るときの姿勢は症状に大きく作用すると言われており、右を下にして寝ない、上半身を少し起き上がらせた体勢で寝るのが効果的です。

さらに軽度であれば生薬配合の胃腸薬や漢方薬で症状を抑えられる場合もありますが、その場合も自分で判断するのは難しいので医師に相談のうえで使ってみましょう。

予防法についてはこちらの記事でもまとめられているので、あわせてご覧ください。

逆流性食道炎の解説|まとめ

最後にこの記事をまとめます。

  • 胸やけ、呑酸が逆流性食道炎の典型的な症状
  • 食生活の欧米化、乱れ、ピロリ菌の減少、ストレスといった様々なことが要因となる
  • 症状有・食道に炎症有または症状無・食道に炎症有は「びらん性胃食道逆流症」、症状有・食道に炎症無は「非びらん性胃食道逆流(NERD)」
  • 代表的な治療法は生活習慣の改善と薬物療法の2つ

なお、東中野駅周辺で逆流性食道炎の治療が可能な医療機関の一覧はこちらで確認できます。すぐに治療が必要な方、今後に備えておきたいという方はぜひ参考にご覧ください。

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