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糖尿病内科

コレステロールの異常値は?脂質検査で調べられる項目と数値を改善する方法

2023.02.02

社会人の方であれば1年に1回受ける健康診断では、血液検査が実施されます。 血液検査は大きく4つの検査が含まれていて、その1つに「脂質検査」があります。 脂質検査では、コレステロールの数値が確認されるのですが、「コレステロールが異常値だった」ということがあるのではないでしょうか。 この記事では、脂質検査で調べられるコレステロールと項目別の異常値について詳しく解説します。コレステロールの異常値を改善する方法も併せてお伝えしているので、健康診断で異常値と診断された方は、ぜひ最後までご覧ください。

コレステロールとは?

コレステロールは健康診断で引っかかることが多く、「体に悪いもの」というイメージを抱いている方がいると思います。しかし、コレステロールは体にとって大切な成分です。

コレステロールは「脂質」の一種で、体内には常時100〜150gが蓄えられています。

全身の細胞膜やステロイドホルモン、胆汁酸などの材料として重要な役割を果たしています。

つまり、コレステロールが体内からなくなってしまうと、健康な状態を維持できなくなります。

また、脂質には中性脂肪やリン脂質、脂肪酸などが含まれています。

健康診断の脂質検査では、コレステロールだけではなく、中性脂肪の数値も検査されます。

脂質検査で調べられる項目とそれぞれの異常値について詳しく解説します。

 

※この記事では、日本人間ドック学会で発表されている数値を参考にしています。

引用元:日本人間ドック学会ー「検査表の見方

https://www.ningen-dock.jp/public/method

 

HDLコレステロール

HDLコレステロールは、血管の壁に溜まったコレステロールを回収して肝臓に戻す役割を担っている成分です。コレステロールを滞りなく、全身に行き渡らせるために重要な役割を担います。

血液中にコレステロールを蓄積するのを防ぎ、動脈硬化を予防してくれるため、「善玉コレステロール」とも言われています。

そんなHDLコレステロールの異常値は下記の通りです。

異常:34以下

要注意:35〜39

基準範囲:40以上

HDLコレステロールは、動脈硬化を予防してくれる役割を担っているため、数値が低ければ低いほど、異常値になります。「コレステロール値が高い=異常値」と考えられることがありますが、HDLコレステロールに関しては低い場合に異常と診断されます。

 

LDLコレステロール

LDLコレステロールは、肝臓で作られたコレステロールを全身の細胞に運ぶ役割を担っています。

LDLコレステロールは、血管の壁に入り込む性質があり、血管の内側が狭くなります。

その結果、動脈硬化を引き起こすリスクが高くなるため、「悪玉コレステロール」と言われることが多いです。LDLコレステロールの異常値は下記の通りです。

異常:59以下・180以上

要注意:120〜179

基準範囲:60〜119

LDLコレステロールは悪玉コレステロールと言われることから、「体内に不必要な成分」と思われることがあります。

しかし、体内に少なすぎることも異常値として診断されます。もちろん、数値が高すぎることは動脈硬化を引き起こす原因になるため、180以上は異常値です。

 

中性脂肪

中性脂肪は、糖質の不足を補い、体を動かすエネルギー源となります。

皮下脂肪になり体温を保持したり、内臓を衝撃から守る役割も担っていて、体に必要な成分です。

中性脂肪の異常値は下記の通りです。

異常:29以下・500以上

要注意:150〜499

基準範囲:30〜149

中性脂肪は体に必要な成分ですが、増えすぎると肥満の原因になり、症状が進行していくと「脂肪肝・糖尿病」などを引き起こすことになります。

そのため数値が低すぎても高すぎても、異常値として診断されます。

 

脂質異常症とは?

脂質異常症とは、HDL・LDL・中性脂肪のどれかが異常値になっている状態を指します。

血液中に余分な脂質が多くなることで、動脈硬化のリスクが高くなり、心筋梗塞や脳卒中などの病気に進行しやすくなります。特に、血管に強い圧力がかかっている高血圧の人が脂質異常症を伴うと、動脈硬化がさらに進行するリスクがあります。

また、糖尿病の人は血中に中性脂肪が増えることから、脂質異常症を伴いやすいです。

脂質異常症について調べると「高脂血症」という言葉が出てくることがあります。

高脂血症はその名の通り、血中のコレステロールや中性脂肪の数値が高い状態を示します。

HDLコレステロールが異常値のときにも使われてた言葉なのですが、数値が低い状態を「高脂血症」と呼ぶのは不適当であることから「脂質異常症」に診断名が変更されています。

つまり、脂質異常症はかつての高脂血症であり、意味合いは同じです。

 

脂質異常症を放置することは危険

HDL・LDL・中性脂肪のどれかが異常値になっている脂質異常症を放置し続けることは危険です。

上記でお伝えした通り、脂質異常症は動脈硬化のリスクが高くなり、心筋梗塞や脳卒中、腎臓病などに進行する恐れが考えられます。

また、脂質異常症にはほとんど症状がありません。無症状であることから健康診断で見つかるケースが多い病気になるので、脂質異常症を放置し続けることがないようにしてください。

健康診断で脂質異常症と診断されたときは、すぐに医療機関で治療を受けることが大切です。

 

コレステロールの異常値を改善する方法

健康的な食事と血圧コントロール ストックフォト

コレステロールが異常値の状態では動脈硬化を引き起こすリスクがあり、改善に向けて行動することが大切です。コレステロールの異常値は、生活習慣から改善することができます。

明日からでも意識できるコレステロールの異常値を改善する方法を大きく5つご紹介します。

 

バランスの良い食事を心がける

コレステロールの異常値を改善するには、バランスの良い食事を心がけることが大切です。

バランス良く食事をするコツは下記の通りです。

・主食、主菜、副菜を毎食揃える

・様々な食材を選ぶ

・主食の重ね食いを避ける

・よく噛んで食べる

・腹八分目を意識する

これらのコツを意識するだけで、バランスの良い食事になります。

また、適正なエネルギー量の摂取を心がけることも大切です。適正なエネルギー量は体重や活動強度などによって異なるので、自分の適正なエネルギー量を把握するようにしてください。

 

適正なエネルギー量を知りたい方は、こちらの記事をご覧ください。

日本医師会ー「1日に必要なカロリー 推定エネルギー必要量

https://www.med.or.jp/forest/health/eat/01.html

 

ショートニングの摂取を控える

ショートニングとは、動物油や植物油を原料としたクリーム状の食用油脂です。

そんなショートニングの中には、トランス脂肪酸が多く含まれています。

トランス脂肪酸には、LDLを増加、HDLを低下される働きがあります。

つまり、トランス脂肪酸の多く含まれているショートニングを控えることが、コレステロールの異常値を改善することにつながります。ショートニングはパンや洋菓子に含まれていることが多いため、過度に摂取することは控えることをおすすめします。

 

適度な運動をする

コレステロールの異常値を改善するには、適度な運動をすることが大切です。

適度な運動をすることで血流が良くなり、体内の中性脂肪が減ります。

その結果、HDLコレステロールの数値が低くなることにつながります。

コレステロールの異常値を改善するには、短期間で集中して行う運動よりも、習慣として続けられる運動が効果的とされています。1日30分程度の散歩やジョギングなどでも効果があるので、無理のない程度で続けてみてください。

ただし、コレステロールの異常値以外に、持病がある方は運動が逆効果になることも考えられるので、まずは担当医に相談することをおすすめします。

 

過度なアルコールを控える

過度なアルコール摂取は、中性脂肪の増加につながります。

その理由は、摂取する脂肪分が増えすぎてしまうことと、アルコールにより肝臓で作られた中性脂肪が血液中に漏れることにあります。

アルコールの摂取は「HDLコレステロールの増加に効果的」と言われることがありますが、それは適量のアルコール摂取に限ります。アルコールの分解機能は人それぞれ異なるので、「アルコールの摂取=HDLコレステロールの増加」とだけ考えることは危険です。

 

目安となるアルコール接種を知りたい方は、こちらの記事をご覧ください。

e-ヘルスネット「健康日本21におけるアルコール対策

https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/alcohol/a-06-002.html

 

ストレスを溜め込まない

コレステロールの異常値を改善する最後の方法が、ストレスを溜めないことです。

慢性的にストレスを感じていると、副腎皮質ホルモンが必要になり、その材料であるLDLコレステロールが血液中に増えることにつながります。

また、ストレスが溜まることでアルコールの摂取量が増えたり、バランスの良い食事を心がけることが難しくなります。

人によってはストレスが溜まっていることに気付かないケースも考えられるので、少しでもストレスを感じたらすぐに解消するように工夫してみてください。

 

効果的なストレス発散方法を知りたい方は、こちらの記事をご覧ください。

健達ねっと「ストレス発散できない人は必見!おすすめの解消方法など詳しく解説」

https://www.mcsg.co.jp/kentatsu/health-care/22943

 

コレステロールの検査・治療はいたや内科クリニックへ

聴診器を持つ若い女性医師の心臓専門医 ストックフォト

上記でお伝えした通り、コレステロールの異常値の状態を放置し続けると、命に関わる大きな病気にまで進行する恐れがあるので、早く医療機関で検査・治療を受ける必要があります。

当院では、コレステロール異常値の治療や、動脈硬化の検査に対応しています。

動脈硬化疾患を長く診療してきた「循環器内科専門医」により診察を行なっていて、脈波検査・心臓超音波検査・頸動脈超音波・ホルター心電図などを院内で検査可能です。

また、当院では迅速な診断および治療方針決定のため、可能な限り検査は予約ではなく、即日対応しています。

 

診察時間・受付方法

当院の診察時間は下記の通りです。

月・火・木・金

9:00〜12:00/14:00〜18:00

土曜

9:00〜14:00

当院では「発熱外来」を設置していて、発熱外来患者様と一般患者様の時間を分けています。

発熱外来患者様との接触を控えるためにも、発熱外来の診察時間以外の来院をおすすめします。

また、当院は即日検査に対応していますが、事前予約があれば確実に検査を行えます。

そのため来院する日時が決まっている場合は、事前に予約を取ることをおすすめします。

当院の発熱外来の診察時間と電話番号はこちらをご覧ください。

いたや内科クリニックー初診の方へ

https://higashinakano-itaya-clinic.com/first

 

まとめ

この記事では、コレステロールの異常値と改善方法について詳しくお伝えしました。

健康診断の脂質検査では、大きく3つの項目が調べられます。

・HDLコレステロール

・LDLコレステロール

・中性脂肪

1つの項目でも異常値と診断されると「脂質異常症」となり、命に関わる大きな病気にまで進行する恐れがあります。異常値の状態を放置することは危険なので、生活習慣の改善を心がけて、医療機関での検査・治療を受けるようにしてください。

当院では、即日検査可能で「循環器内科専門医」が診察を行なっています。

健康診断等でコレステロールが異常値と診断された方は、お気軽に当院へお越しください。