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尿酸値が高いとどうなる?夏に注意したい痛風と脱水を東中野の内科が解説

2026.08.20

血清尿酸値7.0mg/dLは、体温で尿酸が溶けきる限界から決まった数字です。なぜ足の親指から発作が起こるのか、NLRP3インフラマソームが痛みを生むしくみ、そして夏に脱水・アルコール・果糖が重なって尿酸値が上がる経路を、東中野の内科クリニックが論文をもとに解説します。

【目次】
東中野の内科クリニックでも、夏は痛風発作のご相談が増えます
ヒトだけが「尿酸」で行き止まりになります
尿酸は1日およそ700mgつくられ、同じだけ捨てられています
腎臓は、いったん捨てた尿酸をほとんど拾い直しています
「7.0mg/dL」は、体質ではなく物理で決まった数字です
なぜ「足の親指」なのか — 冷えると尿酸は溶けにくくなる
痛風発作は「免疫の警報装置」が鳴っている状態です
夏に尿酸値が上がる4つの経路
高尿酸血症は、関節だけの問題ではありません
発作が起きたとき — やること、やってはいけないこと
尿酸を下げる薬は、大きく2種類です
夏を乗り切るために、いますぐできること
東中野で受診するかどうかの目安
よくあるご質問
まとめ
参考文献

 

東中野の内科クリニックでも、夏は痛風発作のご相談が増えます

「昨日の夜中、急に足の親指が痛くなって、いま靴が履けません」。「毎年、健診で尿酸値が高いと言われるけれど、痛くないので放っています」。「ビールをやめて焼酎にしたのに、また発作が出ました」。東中野のクリニックでも、夏になるとこうしたご相談が増えます。

痛風は、しばしば「ぜいたく病」「暴飲暴食の結果」のように語られます。ですが、そう考えていると本質を見誤ります。尿酸値が上がる原因の多くは、食べたものではなく「捨てる力」の側にあります。そして日本人には、遺伝的に捨てる力が弱いタイプが多いことが分かっています。

この記事では、東中野の内科クリニックとして、尿酸値が高いと体の中で何が起きるのか、なぜ夏に発作が増えるのかを、正確にお伝えします。尿酸がどこから来てどこへ行くのかを追いかけ、「7.0mg/dL」という基準がどこから来た数字なのかを説明し、発作が起こる分子のしくみまで図で解説します。最後に、発作時の対応、薬の考え方、夏の過ごし方をご案内します。

結論を先にお伝えすると、大切なポイントは3つです。①7.0mg/dLは「尿酸が血液に溶けきる限界」という物理で決まった線。②足の親指が狙われるのは、そこが冷たく、尿酸が溶けにくいから。③夏に発作が増えるのは、脱水・ビール・果糖が同時に重なるから。この3つを知っていると、対策が具体的になります。

尿酸値が高いとどうなるか 夏に注意したい痛風と脱水を東中野の内科が解説

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ヒトだけが「尿酸」で行き止まりになります

まず、尿酸とは何かから始めます。

体の中の細胞は、毎日入れ替わっています。古い細胞が壊れると、その核にあった核酸(DNA・RNA)が分解されます。核酸の材料であるプリン体は、ヒポキサンチン → キサンチン → 尿酸という順に分解されていきます。この2段階を担当しているのがキサンチンオキシダーゼ(XO)という酵素です。

プリン体から尿酸ができるまでの代謝経路とウリカーゼの欠損

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ここで、ヒトとほかの多くの動物との決定的な違いが出ます。イヌやネコ、ウシやネズミは、尿酸をさらに分解して「アラントイン」という物質にします。この反応を担当するのがウリカーゼ(尿酸オキシダーゼ)です。アラントインは尿酸よりずっと水に溶けやすいため、体にたまりません。

ところがヒトと類人猿では、ウリカーゼの遺伝子が壊れています。進化の途中で機能を失い、偽遺伝子になってしまったのです。その結果、私たちの体では尿酸が最終産物となり、血液の中を漂うことになりました。

なぜわざわざ「たまりやすい形」で止めているのか

不利にしか見えませんが、実は尿酸は強い抗酸化作用を持つ物質でもあります。ヒトの血液の抗酸化力のかなりの部分を尿酸が担っているという指摘があり、ビタミンCを体内で合成できなくなった代わりだったとする仮説もあります。

つまり尿酸は、まったくの厄介者ではありません。ただし、溶けきる量には限度があります。そこを超えると結晶になる。ここが痛風の出発点です。


尿酸は1日およそ700mgつくられ、同じだけ捨てられています

体内に貯まっている尿酸を尿酸プールといい、およそ1,200mgです。ここに毎日700mgほどが加わり、同じだけ出ていきます。この出し入れの釣り合いが崩れると、値が上がります。

尿酸の1日あたりの産生と排泄のバランス

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ここでいちばん大事なことを申し上げます。食事から入る尿酸は、全体の1〜2割にすぎません。残りの8割以上は、自分の体の細胞が入れ替わるときに生まれるものです。

「プリン体を減らせば尿酸値は下がる」と思われがちですが、食事制限だけでの改善には限界があります。厳格なプリン体制限で下がるのは、せいぜい1mg/dL程度とされています。もちろん、レバー、白子、干物、魚卵などを控えることに意味がないわけではありませんが、それだけで解決すると期待しないでください。

出ていくほうは、腎臓から尿へおよそ500mg(3分の2)、腸から便へおよそ200mg(3分の1)です。腸からの排泄も無視できない量であることに注目してください。

そして日本人では、「つくりすぎるタイプ」より「捨てる力が弱いタイプ」のほうが多数を占めます。とくに、腸と腎臓で尿酸を押し出す輸送体ABCG2の働きが弱い遺伝的な体質が日本人に多いことが、日本の研究グループによって示されています(Matsuo H, et al. Common defects of ABCG2, a high-capacity urate exporter, cause gout: a function-based genetic analysis in a Japanese population. Sci Transl Med. 2009)。


腎臓は、いったん捨てた尿酸をほとんど拾い直しています

腎臓での尿酸の扱いは、少し変わっています。

腎臓の近位尿細管における尿酸の再吸収と分泌

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血液中の尿酸は、まず糸球体でほぼ全量がこし出されます。ところがそのあと、近位尿細管にあるURAT1という輸送体が、こし出された尿酸を細胞内へ回収してしまいます。回収された尿酸は反対側のGLUT9から血液側へ戻されます。

一方でABCG2などが尿酸を尿側や腸側へ押し出しています。差し引きすると、こし出された量のおよそ10%だけが最終的に尿へ出ていきます。ヒトの腎臓は、尿酸をかなり熱心に「取り戻して」いるのです。ここにも、尿酸を抗酸化物質として活用してきた進化の痕跡がうかがえます。

この構造が分かると、薬と生活習慣がどこに効くのかがはっきりします。


「7.0mg/dL」は、体質ではなく物理で決まった数字です

健診で「尿酸値7.0以上は高尿酸血症」と言われます。なぜ7.0なのか。この数字は、統計から決めた便宜的なものではありません。

体温(37℃)で、尿酸一ナトリウム(MSU)が血液に溶けきる限界の濃度が、およそ6.8mg/dLなのです。基準はここから来ています。

尿酸値7.0mg/dLの意味と結晶が沈着するまで

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ですから高尿酸血症の定義は、性別・年齢を問わず7.0mg/dL超です。「男性はもう少し高くてもよい」ということはありません。溶解度は男女で変わらないからです。日本のガイドラインでも、この定義が採用されています(一般社団法人 日本痛風・尿酸核酸学会)。

そして治療の目標値は6.0mg/dL以下に設定されています。6.8ではなく6.0なのは、飽和の線から余裕をとるためです。

「痛くないから大丈夫」は成り立ちません

ここが、いちばんお伝えしたいところです。

尿酸値が7.0を超えていても、多くの方は何も感じません。ですがその間、溶けきれない尿酸は、少しずつ結晶になって関節や腎臓に沈着していきます。この沈着は何年もかけて静かに進みます。

そしてある日、たまった結晶の一部がはがれ落ちて免疫細胞に見つかったとき、激烈な炎症が起こる。これが痛風発作です。つまり痛みは、最後に来る症状です。健診で7.0を超えていると言われた時点が、「これから10年をどう過ごすか」の分かれ目だとお考えください。


なぜ「足の親指」なのか — 冷えると尿酸は溶けにくくなる

痛風発作は、なぜあれほど高い確率で足の親指の付け根(第1中足趾節関節)から始まるのでしょうか。「そこに負担がかかるから」だけでは説明になりません。

答えは温度です。

温度による尿酸一ナトリウムの溶解度の変化と体の部位の温度

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尿酸一ナトリウムの溶けやすさは、温度で大きく変わります。古典的な実験によれば、37℃でおよそ6.8mg/dL、35℃で6.0mg/dL、30℃では4.5mg/dL程度まで落ちます(Loeb JN. The influence of temperature on the solubility of monosodium urate. Arthritis Rheum. 1972)。

いっぽう体の温度は、場所によってまったく違います。体幹はおよそ37℃ですが、ひざやひじは33〜35℃、足の親指の付け根は29〜32℃程度しかありません。

ここから、次のことが言えます。血液の尿酸値が6.5mg/dLだとすると、体幹では溶けています。ところが足の親指の付け根では、溶ける限界が4.4〜5.1mg/dL程度。同じ血液が、そこでは過飽和になっています。

痛風が足の先から始まるのは、これが大きな理由です。そして冷房で足先が冷える、寝ているあいだに布団から足が出る、といったことも引き金になりえます。夏の冷房が痛風と無縁ではない、というのはこの意味においてです。


痛風発作は「免疫の警報装置」が鳴っている状態です

結晶があるだけでは、痛みません。実際、痛風発作を起こしたことがない方の関節にも、超音波でMSU結晶が見つかることがあります。痛みをつくっているのは、結晶ではなく免疫です。

痛風発作が起こる分子メカニズム NLRP3インフラマソームとIL-1β

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関節にたまっていたMSU結晶の一部が遊離すると、関節にいるマクロファージがそれを取りこみます。すると細胞の中で、NLRP3インフラマソームという警報装置が組み立てられます。

この装置はカスパーゼ1という酵素を活性化し、カスパーゼ1がIL-1β(インターロイキン1ベータ)という強力な炎症性サイトカインを切り出します。IL-1βが放出されると、血管が開き、好中球が大量に押し寄せます。その結果が、赤く腫れて熱を持ち、シーツが触れるだけで飛び上がるほどの激痛です(Martinon F, et al. Gout-associated uric acid crystals activate the NALP3 inflammasome. Nature. 2006)。

この経路が分かると、薬がどこに効いているかも見えてきます。

  • コルヒチンは、細胞の骨組みである微小管の組み立てを止めます。好中球は微小管を使って動くので、集まってくることそのものを妨げます。
  • NSAIDs(非ステロイド性抗炎症薬)ステロイドは、その先の炎症のカスケードを抑えます。

いずれも早く飲み始めるほどよく効きます。「様子を見てから」ではなく、発作が始まったと分かった時点で開始するのが原則です。


夏に尿酸値が上がる4つの経路

いよいよ本題です。なぜ夏なのか。

夏に尿酸値が上がる4つの経路 脱水・ビール・果糖・気温

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① 汗と脱水

もっとも大きい要因です。汗で水分が失われると血液が濃縮され、同じ量の尿酸でも濃度が上がります。さらに尿量が減るため、腎臓からの排泄も落ちます。「濃くなる」と「出せなくなる」が同時に起こるので、影響は二重になります。

② ビール(というよりアルコール全般)

アルコールは3つの経路で尿酸を上げます。①アルコール自体がプリン体を含む(とくにビール)。②肝臓での代謝でATPが消費され、その分解産物から尿酸がつくられる。③代謝の過程で乳酸が増え、腎臓からの排泄が妨げられる。

ここで大事なのは、「ビールをやめて焼酎にすれば大丈夫」ではないということです。プリン体の量だけを見ればビールが多いのは事実ですが、②と③はアルコールそのものによるものです。実際、大規模なコホート研究ではビールと蒸留酒はいずれも痛風のリスクを高め、その程度は摂取量に比例したことが示されています(Choi HK, et al. Alcohol intake and risk of incident gout in men: a prospective study. Lancet. 2004)。

③ 果糖(清涼飲料水・ジュース)

見落とされがちですが、影響は大きいものです。果糖(フルクトース)は、肝臓に入るとフルクトキナーゼによって一気にリン酸化されます。このときATPが大量に消費され、その分解産物であるAMPからプリン体の分解が進んで、尿酸がつくられます。

ブドウ糖と違い、果糖のリン酸化にはブレーキがかかりません。だから飲んだ量に応じて、そのまま尿酸産生に直結します。前向きコホート研究では、加糖の清涼飲料水と果汁の摂取量が多いほど痛風のリスクが高いことが報告されています(Choi HK, Curhan G. Soft drinks, fructose consumption, and the risk of gout in men: prospective cohort study. BMJ. 2008)。

夏に「熱中症対策」としてスポーツドリンクや清涼飲料水を毎日飲む習慣は、尿酸値の観点からは逆効果になりえます。大量に汗をかいた日には必要ですが、常用は避けて、水か無糖のお茶を基本にしてください。

④ 気温と季節性

実際に、夏に発作が多いというデータがあります。英国のプライマリケアの大規模データベースを用いた研究では、約25万人・41万件の発作を解析して、発作は6〜8月にもっとも多く、血清尿酸値も夏にもっとも高かったことが示されました(Finnikin S, Mallen CD, Roddy E. Gout flares, serum urate and seasonality: a descriptive cohort study. Clin Rheumatol. 2026)。

ただし、季節性については研究によって結論が分かれます。韓国の多施設前向き研究では、発作がもっとも多かったのは春(3月)で、日内の気温差との関連が指摘されています(Choi HJ, et al. Seasonal Variations and Associated Factors of Gout Attacks: a Prospective Multicenter Study in Korea. J Korean Med Sci. 2020)。この研究でも、夏に発作を誘発した要因の第1位はアルコールでした。

まとめると、「夏だけが危ない」のではなく、「夏には夏の引き金がある」ということです。日本の夏は、汗の量とビールの機会が同時に増えます。ここを押さえておけば十分です。


高尿酸血症は、関節だけの問題ではありません

尿酸は血液に乗って全身をめぐります。結晶がたまる場所は、関節だけではありません。

高尿酸血症による腎臓・尿路・血管への影響

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腎臓 — 痛風腎

尿酸塩が腎臓の間質に沈着すると、腎機能がゆっくり低下していきます。自覚症状はほとんどありません。健診でクレアチニン・eGFR・尿蛋白を一緒に見るのは、このためです。

尿路 — 尿酸結石

尿酸はpHが低い(酸性の)尿ほど溶けにくくなります。脱水で尿が濃く酸性になると、尿路に結石ができやすくなります。背中や脇腹の激痛、血尿が出たら、この可能性を考えます。

予防のポイントは「尿を薄く、酸性にしすぎない」ことです。十分な水分と、野菜・海藻を含む食事(尿をアルカリ側へ傾けます)が効きます。必要に応じて尿アルカリ化薬(クエン酸製剤)を使うこともあります。とくに尿酸排泄促進薬を飲んでいる方は、尿中の尿酸が増えるので、この対策が重要になります。

血管と代謝

高尿酸血症は、高血圧・脂質異常症・糖尿病・脂肪肝としばしば同居します。メタボリックシンドロームの一部として現れることが多く、当院でも尿酸値だけを見るのではなく、血圧・HbA1c・脂質・肝機能・腎機能をまとめて確認します。

なお、「尿酸値を下げれば心血管疾患が減る」かどうかについては、まだ結論が出ていません。関連は繰り返し報告されていますが、因果関係の証明は別の話です。ですので当院では、心血管予防を目的に無症状の方へ尿酸降下薬をお勧めすることはしていません。関節・腎臓・尿路への影響を基準に判断します。


発作が起きたとき — やること、やってはいけないこと

最初の24時間の動き方で、痛みの長さがかなり変わります。

痛風発作時にやること・やってはいけないこと

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やること

  • できるだけ早く抗炎症薬を始める。NSAIDs、コルヒチン、ステロイドのいずれか。過去に発作を起こしたことがあり、主治医から薬を処方されている方は、その指示に従ってください。
  • 患部を安静にし、心臓より高く上げる。枕やクッションで足を上げると楽になります。
  • 冷やす。保冷剤をタオルで包んで当ててください。
  • いつもより多めに水を飲む。尿量を保つことが、そのまま治療になります。
  • 初めての発作なら必ず受診する。理由は後述します。

やってはいけないこと

  • 発作中に尿酸降下薬を新しく飲み始める。尿酸値が急に動くと、結晶の表面が溶けたり再結晶したりして発作が悪化することがあります。開始は炎症が落ち着いてからが原則です。
  • すでに飲んでいる尿酸降下薬を自己判断で中止する。これも値を動かします。「発作が出たから効いていない」と思ってやめてしまう方がいらっしゃいますが、飲み続けるのが原則です。
  • 温める、もむ、マッサージする。炎症を広げます。お風呂で温めるのも発作中は避けてください。
  • 痛み止めと一緒にお酒を飲む。胃腸障害のリスクが上がり、尿酸値も上がります。
  • 水分を控える。「トイレが近いから」と控えると、尿酸が濃くなって逆効果です。

「痛風だと思ったら別の病気だった」は珍しくありません

初めての発作で受診をお勧めするのは、ほかの病気との区別が必要だからです。

  • 化膿性関節炎(細菌が関節に入った状態)は緊急を要します。放置すると関節が破壊されます。
  • 偽痛風(ピロリン酸カルシウムの結晶による関節炎)は、ひざに多く、高齢の方に多く見られます。見た目は痛風とよく似ています。
  • 外反母趾、疲労骨折、蜂窩織炎との区別が必要なこともあります。

発熱を伴う、複数の関節が同時に腫れた、症状が1週間以上続く。このときは必ず受診してください。


尿酸を下げる薬は、大きく2種類です

つくる量を減らすか、捨てる量を増やすか。どちらを選ぶかは、その方のタイプ(産生過剰型か排泄低下型か)、腎機能、尿路結石の有無で決めます。

尿酸降下薬の2つの種類と作用点

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産生を抑える薬(キサンチンオキシダーゼ阻害薬)

アロプリノール、フェブキソスタット、トピロキソスタットなど。キサンチンオキシダーゼを止めて、尿酸そのものがつくられる量を減らします。尿中に出る尿酸が減るため、尿路結石のある方にも使いやすいのが利点です。

排泄を増やす薬(尿酸排泄促進薬)

ドチヌラド、ベンズブロマロン、プロベネシドなど。近位尿細管のURAT1をふさいで「拾い直し」を減らし、尿へ捨てます。尿中の尿酸が増えるため、十分な水分と尿のアルカリ化を併せて行います。

飲み始めに気をつけること

  • 少量から始めて、ゆっくり増やします。尿酸値が急に下がると、かえって発作が起こるためです。
  • 目標は6.0mg/dL以下。痛風結節がある場合は、結節を溶かすためにさらに低く保ちます。
  • 飲み始めの数か月は、発作予防のためにコルヒチンを少量併用することがあります。
  • 自己判断で中断すると、値はすぐ元に戻ります。飲み続けることに意味がある薬です。

症状がない場合、薬を飲むべきか

これはよく聞かれる質問です。日本のガイドラインでは、おおよそ次のように整理されています。

  • 痛風発作を起こしたことがある、痛風結節がある→ 尿酸降下薬による治療の対象です。
  • 症状はないが、腎障害・尿路結石・高血圧・虚血性心疾患・糖尿病などの合併症がある→ 8.0mg/dL以上で薬物治療を考慮します。
  • 症状も合併症もない→ 9.0mg/dL以上で考慮します。それ未満は、まず生活の見直しで経過を見ます。

ただしこれは目安であり、年齢、腎機能、他の薬との兼ね合いで判断は変わります。「数字だけで決めない」というのが実際のところです。


夏を乗り切るために、いますぐできること

効くのは特別なことではありません。水と、お酒と、体重です。

尿酸値を下げるために夏にできること

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① 水を飲む(尿量2L/日を目安に)

もっとも即効性があり、もっとも軽視されている対策です。「飲む量」ではなく「出る量」で考えてください。尿の色が濃い黄色なら足りていません。汗をかいた日はさらに増やします。ただし、心不全や腎不全で水分制限をされている方は、必ず主治医にご確認ください。

② お酒は「純アルコール量」で把握する

計算は「量(mL)× 度数(%)÷ 100 × 0.8」です。

  • ビール500mL(5%)= 20g
  • 日本酒1合180mL(15%)= 約22g
  • 焼酎(25%)100mL= 20g
  • ワイン200mL(12%)= 約19g

厚生労働省の「健康に配慮した飲酒に関するガイドライン」では、生活習慣病のリスクを高める飲酒量として1日あたり男性40g以上・女性20g以上が示されています(厚生労働省「飲酒ガイドライン作成検討会」)。週に2日の休肝日と、飲むときは同量の水を一緒にを目安にしてください。

③ 体重を減らす(ただしゆっくり)

肥満の是正は尿酸値を確実に下げます。ただし急激な減量や絶食は逆効果です。脂肪が急に分解されるとケトン体が増え、これが尿酸の排泄を妨げるため、一時的に尿酸値が上がって発作の引き金になります。「短期間で一気に」ではなく、月に1〜2kgのペースで。

④ 果糖の常用をやめる

清涼飲料水、果汁飲料、エナジードリンク、そしてスポーツドリンクの日常的な摂取をやめてください。大量に汗をかいた日の補給としては必要ですが、のどが渇いたときの標準を水か無糖のお茶にするだけで、かなり変わります。

⑤ 足を冷やしすぎない

冷房の風が足元に直接当たらないように。就寝時は靴下やタオルケットで足先を保護してください。「関節の温度が下がると結晶ができやすくなる」という理屈からすると、これは理にかなった対策です。


東中野で受診するかどうかの目安

受診をお勧めする場合

  • 尿酸値が7.0mg/dLを超えている(症状がなくても、一度はご相談ください)
  • 足の親指の付け根が急に赤く腫れて、激しく痛む
  • これまでに痛風発作を起こしたことがある
  • 耳や手指、肘にしこりができた(痛風結節の可能性)
  • 健診で腎機能(クレアチニン・eGFR)も一緒に指摘されている
  • 尿酸を上げる薬(一部の利尿薬など)を飲んでいる

お急ぎいただきたい症状

  • 関節の腫れと同時に38℃以上の発熱がある(化膿性関節炎の可能性)
  • 複数の関節が同時に腫れて痛む
  • 背中や脇腹の激痛、血尿(尿路結石の可能性)
  • 発作が1週間以上おさまらない

当院での検査の流れ

  1. 問診:発作の部位と経過、飲酒量(純アルコール量で)、体重の推移、内服薬、家族歴、これまでの健診結果。
  2. 採血:尿酸値に加えて、クレアチニン・eGFR(腎機能)、血糖・HbA1c、脂質、肝機能、CRP・白血球(炎症の程度)。
  3. 尿検査:尿pH、尿蛋白・尿潜血。必要に応じて尿中尿酸排泄量を測り、産生過剰型か排泄低下型かを判定します。
  4. 画像:必要に応じてエコーやレントゲンで、結石や関節の状態を確認します。
  5. 方針の相談:生活の見直しで経過を見るか、薬物治療を始めるかをご相談します。

初診の流れは初診の方へ、アクセスはアクセス・案内をご覧ください。当院はJR総武線 東中野駅 西口より徒歩2分、都営大江戸線 東中野駅 A2出口より徒歩2分です。生活習慣病健康診断についてもご案内しています。

受診の際は、健診結果(できれば過去数年分)をお持ちください。尿酸値の推移が分かると、方針が立てやすくなります。


よくあるご質問

Q. 尿酸値が高いと言われましたが、痛くありません。放っておいてよいですか?

A. 一度は受診をお勧めします。痛みがないあいだも結晶は静かにたまり続けており、腎臓への影響も進みます。ただし、すぐに薬を飲むという意味ではありません。まず腎機能・尿pH・合併症を確認し、多くの場合は生活の見直しから始めます。「調べる」と「薬を飲む」は別のことです。

Q. プリン体ゼロのビールなら大丈夫ですか?

A. プリン体だけの話ではありません。アルコールそのものが、ATPの消費と乳酸の産生を通じて尿酸を上げます。プリン体ゼロの表示があっても、アルコールが入っていれば影響は残ります。いちばん確実なのは、ノンアルコール飲料に替えるか、量を減らすことです。

Q. 発作が出たとき、市販の痛み止めを飲んでよいですか?

A. NSAIDs(ロキソプロフェン、イブプロフェンなど)は選択肢になります。ただし、アスピリンは少量では尿酸の排泄を妨げるので避けてください。また、腎機能が悪い方、胃潰瘍の既往がある方、他の薬を飲んでいる方は注意が必要です。初めての発作なら、市販薬で乗り切らずに受診してください。

Q. 発作が治まりました。もう受診しなくてよいですか?

A. むしろ、治まってからが本番です。発作は「結晶がたまっている」というサインであり、放置すれば数か月から数年で再び起こります。回数を重ねるほど間隔は短くなり、複数の関節へ広がっていきます。発作が落ち着いたところで、尿酸値を下げる方針を立てるのがいちばん効率的です。

Q. 発作中に採血したら尿酸値が正常でした。痛風ではないのですか?

A. 痛風を否定できません。発作中は尿酸値がむしろ下がることがよく知られています。先ほどご紹介した英国の研究でも、尿酸値は発作の前日にピークとなり、発作後は数か月にわたって低い状態が続くことが示されています。発作が治まってから、あらためて測ることが大切です。

Q. 女性でも痛風になりますか?

A. なりますが、閉経前は少ないです。エストロゲンには尿酸の排泄を促す作用があるため、閉経前の女性は尿酸値が低く保たれています。閉経後は男性との差が縮まり、発症が増えます。利尿薬を飲んでいる方、腎機能が低下している方ではとくに注意が必要です。

Q. 水をたくさん飲めば尿酸値は下がりますか?

A. 血液を薄めて尿からの排泄を保つ、という意味では確かに効きます。とくに夏は効果が実感しやすい対策です。ただし水だけで7.0を大きく下回るところまで下げるのは難しいことが多く、あくまで基本の土台とお考えください。心臓や腎臓の病気で水分制限のある方は主治医にご確認ください。

Q. コーヒーや乳製品は尿酸値によいと聞きました。

A. コーヒーの摂取量が多いほど痛風のリスクが低いという観察研究があり、低脂肪の乳製品についても同様の報告があります。ただしこれらは観察研究であり、「飲めば下がる」と断言できる強さの根拠ではありません。好きな方が続けるぶんには問題ありませんが、治療の代わりにはなりません。


まとめ

  • ヒトはウリカーゼを失ったため、尿酸が代謝の終点になっています。抗酸化物質としての利点と引き換えに、たまりやすさを抱えました。
  • 尿酸は1日およそ700mgつくられ、同じだけ捨てられます。食事由来は全体の1〜2割にすぎません。
  • 腎臓はこし出した尿酸の約9割をURAT1で拾い直しています。尿へ出るのは1割ほど。日本人にはABCG2の働きが弱い体質が多く見られます。
  • 7.0mg/dLは、体温で尿酸が溶けきる限界(約6.8mg/dL)から来た数字です。性別・年齢を問いません。治療目標は6.0以下。
  • 足の親指が狙われるのは、そこが29〜32℃と冷たいから。その温度では溶ける限界が4.4〜5.1mg/dLまで下がります。
  • 発作の痛みは結晶ではなく免疫がつくります。MSU結晶 → NLRP3インフラマソーム → IL-1β → 好中球という流れです。
  • 夏に上がるのは、脱水・アルコール・果糖・気温が重なるから。「ビールを焼酎に替える」では解決しません。
  • 発作中に尿酸降下薬を新しく始めない。すでに飲んでいるならやめない。患部は冷やして高く上げる。
  • 「痛くないから大丈夫」は成り立ちません。痛みは最後に来る症状です。
  • いますぐできるのは、水を飲むこと、純アルコール量を測ること、果糖の常用をやめること、足を冷やしすぎないこと。

痛風は、原因のしくみがここまで詳しく分かっている病気としては珍しく、きちんと管理すれば発作をほぼゼロにできる病気です。裏を返せば、放置すれば確実に進みます。健診で尿酸値を指摘されたら、痛くないうちにご相談ください。東中野の内科クリニックとして、必要な検査と、必要のない薬を出さない診療を心がけています。

いたや内科クリニック TEL 03-3366-3300

 

※本記事は一般的な医学情報の提供を目的としたもので、個別の診断・治療方針を示すものではありません。検査値の解釈や薬の使用については、必ず医師・薬剤師にご相談ください。


参考文献

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