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消化器内科

過敏性腸症候群になってしまった場合の治し方は?

2024.06.26

慢性的に下痢や便秘の症状がある方、特に大きな病気はないのに急な腹痛があるという方はいないでしょうか。その症状は過敏性腸症候群の可能性があります。この記事では、過敏性腸症候群の症状や原因、また診断された後の治し方について紹介します。

過敏性腸症候群になってしまった場合の治し方は?|はじめに
過敏性腸症候群になってしまった場合の治し方は?|過敏性腸症候群の症状は4タイプ
過敏性腸症候群になってしまった場合の治し方は?|ストレスが原因となる?
過敏性腸症候群になってしまった場合の治し方は?|過敏性腸症候群と間違われるその他の病気と検査方法
過敏性腸症候群になってしまった場合の治し方は?|治し方について
過敏性腸症候群になってしまった場合の治し方は?|まとめ

過敏性腸症候群になってしまった場合の治し方は?|はじめに

便秘がち、お腹が弱いという人に遭遇したことがある人は少なくないでしょう。自分自身がそうであるという方もいるでしょう。

このような症状は胃腸に何らかの異変が起こっている可能性が高いですが、何の病変が見受けられないにもかかわらず実際にこのような症状が起きる場合があります。

その一つが過敏性腸症候群(IBS:Irritable Bowel Syndrome)です。

過敏性腸症候群は腸と脳が密接に関係する「脳腸相関」に深く関係しており、ストレスが大きな要因になっていると見られています。

この記事では、過敏性腸症候群の症状4タイプとストレスとの関係性を解説したうえで、診断方法と治し方について紹介します。

なお、腸ではなくストレスが胃に影響を及ぼす病気として「ストレス性胃炎」があります。

この病気について詳しく知りたい方は、こちらをサイトなどをご参照ください。

過敏性腸症候群になってしまった場合の治し方は?|過敏性腸症候群の症状は4タイプ

過敏性腸症候群の主な症状は、腹痛が起こり、正常な便が出ない状態が数ヶ月以上の長期に渡って続くというものです。

また排便後は症状が落ち着くという共通点もあります。

しかしその他の部分は人によって異なり、4つのタイプに分類できます。

下痢型

急な腹痛によって便意をもよおし、出る便がほぼ水のような下痢の状態となるタイプです。

同じ状況が1日に何度も起こることが多く、特に若い男性に多く見られるのがこのタイプです。

便秘型

女性に多くみられるタイプで、腸が痙攣することで便通を妨げ、強く力まないと排便できなくなります。

出ても小さくコロコロしたものだけで、その後もスッキリしない状態、お腹の張った状態が続きます。

強く力むためいぼ痔や切れ痔になるリスクもあります。

混合型(交代型)

下痢型・便秘型どちらの症状も現れるタイプです。

どちらか一方の状態であることが多いものの、両方の症状が繰り返し起こるというのもこのタイプの特徴です。

分類不能型

以上3つに分類されない過敏性腸症候群は分類不能型とされます。

膨満感があったり、おならが出やすかったりという場合は「ガス型」とも呼ばれますが、これも分類不能型の一つとなります。

4つのタイプはいずれも緊張や不安などでストレスがかかると症状が悪化することがあり、働き盛りの人だけではなく子供に見られる場合もあります。

通勤・通学中の電車内やテスト中、会議中といったトイレに行けない・行きづらい場面で一度発作が起こると、次もまた同じことが起こるのではないかと不安になり悪循環に陥ります。

近年、総合的な人生の生きがいや満足度を表すものとしてQOL(Quality of life)という言葉が使われていますが、過敏性腸症候群の症状による不安は、これを著しく低下させる原因になります。

そのため、過敏性腸症候群が疑われる症状が現れた場合は放置せずにまず検査することが重要です。

こちらのサイトでは過敏性腸症候群をセルフチェックできます。医療機関を受診するために自分でも確認したいという方は試してみてください。

過敏性腸症候群になってしまった場合の治し方は?|ストレスが原因となる?

過敏性腸症候群の主な原因はストレスと言われています。

腸は第二の脳とも呼ばれており、実は脳から腸に送られる信号より、腸から脳への方が多く送られていると考えられています。

このように互いが影響し合うことを「脳腸相関」と呼びます。

また人間の体における腸の役割は多く、人体最大の免疫器官と言われているように全体の半数以上の免疫細胞を保持しており、様々な病原体に対抗できる状態を整えています。

ホルモンを分泌する腸管内分泌細胞も備わっており、空腹時にはこのホルモンを分泌して脳に食べ物の摂取を促します。

そして、腸は脳からの指令がなくても自ら思考できるとも言われています。

腸には「腸管神経系」という神経細胞があり、例えば消化管運動や粘膜における水・電解質の輸送を自ら判断して行うことが可能です。

このように多機能な腸は脳とも密接な関係にあり、脳で感じた不安やストレスは腸へ、腸の神経細胞で感知した情報は脳へ送り届けられます。

ここに過敏性腸症候群とストレスの関係における裏づけがあると言えます。

脳がストレスを感じると腸に信号が送られて腹痛などの症状をきたし、その後はその痛みが刺激として脳に送られ不安感が増します。

このように脳腸相関による悪循環が生じることが、過敏性腸症候群に繋がると考えられています。

なお、腸内細菌が発症に関係あることも示唆されています。

セロトニンやドーパミンという神経伝達物質は知っている人も多いかと思いますが、これらは腸内細菌によって生成されます。

もう少し細かく説明すると、食べ物の消化や吸収といった腸の活動は自律神経によって制御されています。

そのためストレスなどによって自律神経が乱れると腸の活動に影響を及ぼし、排便がいつものようにできなくなって便秘や下痢、腹痛といった症状が現れるということです。

なお睡眠不足などによる不規則な生活リズムや食生活の乱れ・偏り、疲労の蓄積もストレスと溜める要因となるため、結果的に過敏性腸症候群の原因となる可能性があります。

生真面目・内向的・情緒不安定・感情表現が苦手・抑うつ状態、また強い緊張を感じる場面に多く遭遇するという人はストレスを溜めやすいので過敏性腸症候群になる可能性が高いと言えます。

腸の仕組みについてはヤクルトのサイトでコラムとしてより詳しく解説されているので、気になる方はぜひご覧ください。

過敏性腸症候群になってしまった場合の治し方は?|過敏性腸症候群と間違われるその他の病気と検査方法

一般的な検査方法について次に紹介します。

一般臨床検査

血液検査や尿検査、便潜血検査をおこなって炎症や出血、貧血などの症状がないかを確認します。

クローン病、潰瘍性大腸炎、がん、顕微鏡的大腸炎、セリアック病の可能性がないか、また便に症状が現れる甲状腺や膵臓に異常がないかを確認できます。

感染症の可能性がないかを確認するために「便培養検査」がおこなわれる場合もあります。

大腸内視鏡検査(大腸カメラ)

大腸がんや潰瘍性大腸炎、クローン病、感染性腸炎といった細胞・組織が破壊される病気を器質的疾患と言いますが、この可能性がないかを確認するために大腸内視鏡検査が実施されます。

特に血便・発熱・体重減少といった症状が見られる場合や、過去に腸の病気をしている場合、年齢が45歳以上の場合に実施されることが多いでしょう。

なお内視鏡検査でポリープや早期のがんが見つかった場合は、そのまま切除が可能というメリットがあります。

腹部CT検査

高齢であるなどの理由によって大腸内視鏡検査が難しい場合は、CT検査にて病変を確認することがあります。

あわせて腹部の超音波検査が実施されることもあります。

診断

過敏性腸症候群の場合、上記に挙げた検査をしても異常が見られません。

検査結果と合わせ、過去3ヶ月で週1以上の腹痛の症状があり、かつ「排便に関連した痛みがある」「痛みが排便回数に連動している」「痛みが便の硬さの変化に連動している」という3つの症状のうち2つ以上に該当した場合に初めて過敏性腸症候群と診断されます。

ただし45歳以上の過敏性腸症候群の患者は虫垂炎・胆嚢疾患・潰瘍・がん、また消化管の病気になりやすい傾向にあります。

そのため一度診断された場合も、便に血が混ざるようになった、体重が減少した、腹痛で夜目覚めるようになったなど、これまで見られなかった症状が出た時は改めて検査することをおすすめします。

なお検査の流れの例についてこちらのサイトで図解されていたので、あわせてご覧ください。

過敏性腸症候群になってしまった場合の治し方は?|治し方について

一般的な過敏性腸症候群の治し方を以下に紹介します。

なお実際に適用される治し方は医療機関によって、また患者の状態によって異なる場合もあります。

この記事をきっかけに知識を蓄えたうえで医師のアドバイスをしっかり聞いて、万が一改善が見られない場合や不安がある場合は遠慮せず相談してみましょう。

ストレス解消と生活改善

過敏性腸症候群において、自分なりのストレス解消法を見つけることは重要です。

ストレスによって過敏性腸症候群を発症し、日常生活や仕事に支障が出始めるとそれによって更なるストレスを溜めてしまい、悪循環に陥る可能性もあります。

ストレスで自律神経が乱れると頭痛・めまい・耳鳴りといった他の症状を併発する可能性まで出てきます。

自分で適切なストレスマネジメントができれば良いのですが、ストレスが溜まりやすい人は、大概にしてストレスの解消方法がわからないものです。

そのためメンタルクリニックなどの専門医に相談しても良いでしょう。

有効な方法としては、認知行動療法や精神療法、催眠療法といったものがあります。これらの療法を受けるのが不安という方はかかりつけの医療機関や友人に相談してみましょう。

また、臨床心理士の資格を持っている医師がいることを一つの指標とするのも良いでしょう。

鍼治療やヨガが効くという話もありますが特に科学的な根拠はないため、あくまで自分に合っている、効果があるという場合に続けてみるくらいに考えておいてください。

心理療法の一環として、抗不安薬や自律神経調整薬などが処方されることもあります。

なお、生活習慣を改善することでストレス解消に繋がることがあります。

具体的な改善方法としては、規則正しい生活リズムを作って睡眠を十分にとり(7時間程度が好ましい)、食事を1日3食しっかりとるということが挙げられます。

また適度なストレッチやウォーキングといった適度な運動をすることで過敏性腸症候群の症状を軽減できる場合もあります。

薬物療法・漢方療法

過敏性腸症候群における薬物療法は、どの患者にも同じものが処方されるわけではなく、症状に応じて様々な薬が使用されます。

ただし腸を整える消化管機能調節薬や、ビフィズス菌・乳酸菌などの製剤となるプロバイオティクス、便の水分量を調整する高分子重合体、腹痛を改善する抗コリン薬などは、共通で処方されることが多いです。

そのほかに便秘型の場合は緩下剤が、下痢型の場合はセロトニン3受容体拮抗薬や下痢止めが処方されます。

水分量を調整する薬として「ポリカルボフィルカルシウム」、便秘の症状を和らげる薬として「リンゼス」、下痢の症状を和らげる薬として「イリボー」といったものが有名です。

以上の薬とあわせて漢方が処方されることもあります。

漢方においても、それぞれの症状に合わせたものが処方されます。

例えば便秘の場合は「桂枝加芍薬大黄湯」、膨満感がある場合は「桂枝加芍薬湯」という漢方が使用されます。

ただし漢方を取り扱っている医療機関は限られているため、希望する場合はホームページなどであらかじめ漢方を扱っていることを確認してから訪れましょう。

食生活の改善

食生活についても現れている症状によって気をつける点が異なりますが、共通する部分もあります。

一つは、1回の食事の量を減らすという点です。

1日の食事回数を減らす必要はなく、1回ごとの量を減らすと効果的です。むしろ、量を減らしたら回数は増やしても良いと言われることもあります。

共通して控えた方が良いものとしては、果物などに含まれる果糖や、乳製品が挙げられます。

また大量なアルコールや喫煙、刺激のある香辛料なども控えた方が良いでしょう。

一方で、食物繊維を多く含んだ食べ物は積極的に摂ることがすすめられています。

特に便秘型においては芋類、キノコ類、豆類、海藻類といった食物繊維を多く含んだ食べ物や水の摂取が効果的です。腸内環境を整える乳酸菌もおすすめです。

下痢型の場合は低脂肪食や消化の良い食べ物がおすすめで、下痢による脱水も起こりやすいため、こまめな水分の摂取も心がける必要があります。

なお飲み物は温かいもの、常温のものがおすすめです。

膨満感やおならがよく出るガス型の症状がある場合は、消化のしやすい食べ物の摂取を意識しましょう。

当院について

当院「いたや内科クリニック」には消化器内科があり、腸に関する様々な病気の検査・診療をおこなうことが可能です。

お腹の調子が気になる方はぜひ来院を検討してみてください。

なお、当院は予約不要で当日の受診が可能です。

患者様の容態や混雑時にはお待ちいただくこともあることを、あらかじめご了承ください。

その他の診療科目は内科、循環器内科、糖尿病内科、アレルギー科です。診療時間は、月〜金曜日が9:00〜12:00と14:00〜18:00、土曜日は9:00〜14:00、水曜、日曜、祝日休診、予約不要で当日の受診も可能となっています。

東中野エリアにあり、JR総武線東中野駅、都営大江戸線東中野駅A2出口よりそれぞれ徒歩2分の場所にあるので交通の便も良いクリニックです。

当院について詳しく知りたい方は、こちらの公式ホームページをご参照ください。

過敏性腸症候群になってしまった場合の治し方は?|まとめ

最後にこの記事をまとめます。

  • 腸に病変がないのに便秘・下痢、腹痛を繰り返す病気
  • ストレスが大きな要因
  • 症状のタイプは下痢型、便秘型、混合型、分類不能型の4つ
  • 脳と腸は密接に関係しており、ストレスが症状を引き起こす
  • 治し方はストレス解消、薬物療法、生活習慣の改善が基本

なお、東中野周辺で過敏性腸症候群に対応しているクリニックをお探しの方は以下のサイトなどを参考にしてみてください。

病院なび
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