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消化器内科

過敏性腸症候群の原因や症状・治療法について解説

2024.06.24

過敏性腸症候群は、特に腸に病変が見られないものの便秘や下痢、腹痛といった症状が起こる病気です。電車に乗っている時などに発作が起こるなど日常生活や仕事にも支障をきたす場合があります。この記事では、過敏性腸症候群の原因を中心に、症状や検査方法、治療法について紹介します。

過敏性腸症候群の原因や症状・治療法について解説|はじめに
過敏性腸症候群の原因や症状・治療法について解説|4つに分類できる過敏性腸症候群の症状
過敏性腸症候群の原因や症状・治療法について解説|原因は何か?
過敏性腸症候群の原因や症状・治療法について解説|過敏性腸症候群と間違われるその他の病気と検査方法
過敏性腸症候群の原因や症状・治療法について解説|治療法と注意点
過敏性腸症候群の原因や症状・治療法について解説|まとめ

過敏性腸症候群の原因や症状・治療法について解説|はじめに

すぐお腹を壊す、弱いという人を見かけたことがある人、あるいは自分がそうだという人は少なくないでしょう。

特に胃腸の病気がないにもかかわらずそういった症状がある人の多くは過敏性腸症候群(IBS:Irritable Bowel Syndrome)の可能性があります。

過敏性腸症候群は近年ストレスが大きな原因になっていると考えられており、複数の方法を合わせて治療が進められることが多いです。

診断するには検査が欠かせず、検査によってその他の重大な病気の可能性が除外できた場合に初めて確定されます。

この記事では、腸と脳の関係を含めた過敏性腸症候群の原因を中心に、起こる症状や検査方法、治療法について紹介していきます。

以前からお腹の調子を壊しやすいものの病院に行ったことがないという方はぜひご覧ください。

なお今回は腸に焦点を当てて紹介しますが、ストレスが胃に影響を及ぼす病気として「ストレス性胃炎」があります。

この病気について詳しく知りたい方は、こちらをサイトなどをご参照ください。

過敏性腸症候群の原因や症状・治療法について解説|4つに分類できる過敏性腸症候群の症状

過敏性腸症候群の主な症状は、腹痛が起こり、正常な便が出ない状態が数ヶ月以上の長期に渡って続くというものです。

また排便後は症状が落ち着くという共通点もあります。

しかし症状の出方は人それぞれで、現在は大きく4つのタイプに分類されています。

下痢型

急な腹痛によって便意をもよおし、出る便がほぼ水のような下痢の状態となるタイプです。

同じ状況が1日に何度も起こることが多く、特に若い男性に多く見られるのがこのタイプです。

便秘型

女性に多くみられるタイプで、腸が痙攣することで便通を妨げ、強く力まないと排便できなくなります。

出ても小さくコロコロしたものだけで、その後もスッキリしない状態、お腹の張った状態が続きます。

強く力むためいぼ痔や切れ痔になるリスクもあります。

混合型(交代型)

下痢型・便秘型どちらの症状も現れるタイプです。

どちらか一方の状態であることが多いものの、両方の症状が繰り返し起こるというのもこのタイプの特徴です。

分類不能型

以上3つに分類されない過敏性腸症候群は分類不能型とされます。

膨満感があったり、おならが出やすかったりという場合は「ガス型」とも呼ばれますが、これも分類不能型の一つとなります。

4つのタイプはいずれも緊張や不安などでストレスがかかると症状が悪化することがあり、働き盛りの人だけではなく子供に見られる場合もあります。

通勤・通学中の電車内やテスト中、会議中といったトイレに行けない・行きづらい場面で一度発作が起こると、次もまた同じことが起こるのではないかと不安になり悪循環に陥ります。

近年、総合的な人生の生きがいや満足度を表すものとしてQOL(Quality of life)という言葉が使われていますが、過敏性腸症候群の症状による不安は、これを著しく低下させる原因になります。

また、寝ている間に腹痛で起きてしまうことは稀なので、もしそのような症状が出るのであれば他の病気を疑う必要があります。

以上より、過敏性腸症候群のような症状が現れた場合は放置せずにまず検査することが重要であり、診断された後も医師と話し合って自分に合った治療を続けることをおすすめします。

こちらのサイトでは過敏性腸症候群をセルフチェックできます。医療機関を受診するために自分でも確認したいという方は試してみてください。

過敏性腸症候群の原因や症状・治療法について解説|原因は何か?

過敏性腸症候群の主な原因はストレスと言われています。

腸は第二の脳とも呼ばれており、実は脳から腸に送られる信号より、腸から脳への方が多く送られていると考えられています。

このように互いが影響し合うことを「脳腸相関」と呼びます。

また人間の体における腸の役割は多く、人体最大の免疫器官と言われているように全体の半数以上の免疫細胞を保持しており、様々な病原体に対抗できる状態を整えています。

ホルモンを分泌する腸管内分泌細胞も備わっており、空腹時にはこのホルモンを分泌して脳に食べ物の摂取を促します。

そして、腸は脳からの指令がなくても自ら思考できるとも言われています。

腸には「腸管神経系」という神経細胞があり、例えば消化管運動や粘膜における水・電解質の輸送を自ら判断して行うことが可能です。

このように多機能な腸は脳とも密接な関係にあり、脳で感じた不安やストレスは腸へ、腸の神経細胞で感知した情報は脳へ送り届けられます。

ここに過敏性腸症候群とストレスの関係における裏づけがあると言えます。

脳がストレスを感じると腸に信号が送られて腹痛などの症状をきたし、その後はその痛みが刺激として脳に送られ不安感が増します。

このように脳腸相関による悪循環が生じることが、過敏性腸症候群に繋がると考えられています。なお、腸内細菌が発症に関係あることも示唆されています。

もう少し細かく説明すると、食べ物の消化や吸収といった腸の活動は自律神経によって制御されています。

そのためストレスなどによって自律神経が乱れると腸の活動に影響を及ぼし、排便がいつものようにできなくなって便秘や下痢、腹痛といった症状が現れるということです。

なお睡眠不足などによる不規則な生活リズムや食生活の乱れ・偏り、疲労の蓄積もストレスと溜める要因となるため、結果的に過敏性腸症候群の原因となる可能性があります。

生真面目・内向的・情緒不安定・感情表現が苦手・抑うつ状態、また強い緊張を感じる場面に多く遭遇するという人はストレスを溜めやすいので過敏性腸症候群になる可能性が高いと言えます。

腸の仕組みについてはヤクルトのサイトでコラムとしてより詳しく解説されているので、気になる方はぜひご覧ください。

過敏性腸症候群の原因や症状・治療法について解説|過敏性腸症候群と間違われるその他の病気と検査方法

繰り返しとなりますが、過敏性腸症候群は腸に何の病変も見られないにもかかわらず腹痛などの症状が続く病気です。

そのため本当に病変がないかは、検査によって調べられることになります。

一般臨床検査

血液検査や尿検査、便潜血検査をおこなって炎症や出血、貧血などの症状がないかを確認します。

クローン病、潰瘍性大腸炎、がん、顕微鏡的大腸炎、セリアック病の可能性がないか、また便に症状が現れる甲状腺や膵臓に異常がないかを確認できます。

感染症の可能性がないかを確認するために「便培養検査」がおこなわれる場合もあります。

大腸内視鏡検査(大腸カメラ)

大腸がんや潰瘍性大腸炎、クローン病、感染性腸炎といった細胞・組織が破壊される病気を器質的疾患と言いますが、この可能性がないかを確認するために大腸内視鏡検査が実施されます。

特に血便・発熱・体重減少といった症状が見られる場合や、過去に腸の病気をしている場合、年齢が45歳以上の場合に実施されることが多いでしょう。

なお内視鏡検査でポリープや早期のがんが見つかった場合は、そのまま切除が可能というメリットがあります。

腹部CT検査

高齢であるなどの理由によって大腸内視鏡検査が難しい場合は、CT検査にて病変を確認することがあります。

あわせて腹部の超音波検査が実施されることもあります。

診断

過敏性腸症候群の場合、上記に挙げた検査をしても異常が見られません。

検査結果と合わせ、過去3ヶ月で週1以上の腹痛の症状があり、かつ「排便に関連した痛みがある」「痛みが排便回数に連動している」「痛みが便の硬さの変化に連動している」という3つの症状のうち2つ以上に該当した場合に初めて過敏性腸症候群と診断されます。

ただし45歳以上の過敏性腸症候群の患者は虫垂炎・胆嚢疾患・潰瘍・がん、また消化管の病気になりやすい傾向にあります。

そのため一度診断された場合も、便に血が混ざるようになった、体重が減少した、腹痛で夜目覚めるようになったなど、これまで見られなかった症状が出た時は改めて検査することをおすすめします。

なお検査の流れの例についてこちらのサイトで図解されていたので、あわせてご覧ください。

過敏性腸症候群の原因や症状・治療法について解説|治療法と注意点

ここでは主な治療法について解説します。

生活習慣・食生活の改善

治療ではないのではと思うかもしれませんが、過敏性腸症候群において規則正しい生活習慣に戻すことや、1日3食のバランスの取れた食生活を送ることは重要です。

特にストレスは過敏性腸症候群の主な原因であるため、溜めないような生活を送りましょう。

ストレスを溜めやすい性格の方は「ストレスマネジメント」というコントロールする方法や、体にリラックス状態をもたらす「リラクゼーション療法」を学んだり、メンタルに精通した医師を訪れて相談したりしても良いでしょう。

それでも改善しない場合は、心理療法の一環として抗不安薬や自律神経調整薬などが処方されることもあります。

睡眠不足も厳禁です。

仕事で睡眠時間がとれないという方もいるかもしれませんが、過敏性腸症候群が改善しないことで仕事に支障が出るようであればもとも子もありません。

極力決まった時間に十分な睡眠がとれる環境を整えることを優先させましょう。

また適度なストレッチやウォーキングといった適度な運動をすることで過敏性腸症候群の症状を軽減できる場合もあります。

食生活に関しては、基本的に食事の回数を減らす必要はありません。

1日3回の食事において食べすぎない、早食いしないということを心がけましょう。

またタイプ別に見ると、便秘型の場合は食物繊維の多い食品を、下痢型の場合は香辛料などの刺激物や高脂肪のものを避けて消化の良いものを摂取すると効果的です。

上記に限ったものだけではなく、その他にも自分でお腹に不調が生じやすいと認識しているものは避け、栄養バランスの良い食事をしましょう。

発酵性のオリゴ糖・二糖類・単糖類・ポリオールなどの炭水化物を控えることで症状が改善する人もいれば、発酵食品を摂取することで改善する人もいるので、過敏性腸症候群のタイプや自分の体質に見合った改善をすることが最も重要と言えます。

アルコールも消化液の分泌に支障が出て下痢や便秘に繋がる可能性があるため、大量な飲酒は控えた方が良いでしょう。

タバコも刺激となるので禁煙することをおすすめします。

薬・漢方での治療

各患者の状態に合った薬・漢方が処方されます。

例えば便秘型の場合は、便を柔らかくする粘膜上皮機能変容薬や下剤が処方され、下痢型の場合は逆に止痢薬や、腸の運動を正常化するためにセロトニン3受容体拮抗薬(5-HT3拮抗薬)などが処方されます。

腸を整える消化管機能調節薬や、ビフィズス菌・乳酸菌などの製剤となるプロバイオティクス、便における水分を調整する分子重合体、腹痛を改善する抗コリン薬などは共通で処方されることが多いです。

また上述したような薬との併用となることが多いですが、漢方にも便秘や下痢、膨満感の症状を少しずつ和らげるもの、便通を正常化するもの、冷えを解消して症状を軽減するものなどがあります。

ただし漢方を取り扱っている医療機関は限られているため、希望する場合はホームページなどであらかじめ漢方を扱っていることを確認してから訪れましょう。

当院について

当院「いたや内科クリニック」には消化器内科があり、腸に関する様々な病気の検査・診療をおこなうことが可能です。

お腹の調子が気になる方はぜひ来院を検討してみてください。

なお、当院は予約不要で当日の受診が可能です。

患者様の容態や混雑時にはお待ちいただくこともあることを、あらかじめご了承ください。

その他の診療科目は内科、循環器内科、糖尿病内科、アレルギー科です。

診療時間は、月〜金曜日が9:00〜12:00と14:00〜18:00、土曜日は9:00〜14:00、水曜、日曜、祝日休診、予約不要で当日の受診も可能となっています。

東中野エリアにあり、JR総武線東中野駅、都営大江戸線東中野駅A2出口よりそれぞれ徒歩2分の場所にあるので交通の便も良いクリニックです。

当院について詳しく知りたい方は、こちらの公式ホームページをご参照ください。

過敏性腸症候群の原因や症状・治療法について解説|まとめ

最後にこの記事をまとめます。

  • 過敏性腸症候群になると腹痛と便通異常が数ヶ月続く
  • 下痢型・便秘型・混合型・分類不能型という4つのタイプに分類される
  • 腸と脳は関係性が深く、過敏性腸症候群はストレスによって腸に影響をもたらす病気の一つである

なおメンタルに特化したアプローチ方法については、こちらのサイトで詳しく紹介されていたのであわせてご覧ください。

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