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高血糖と糖尿病の違いについてご紹介
2023.12.19
糖尿病は、体にエネルギーを送ったり、血糖値を下げる役割のあるインスリンが何らかの要因によって不足したり作用しなくなったりした結果、高血糖の状態が続いてしまい体に様々な障害が表れる病気です。それでは俗に言われる高血糖とはどう違うのでしょうか。この記事ではそれぞれの症状や基準といった違いについて紹介します。
高血糖と糖尿病の違いについてご紹介|糖尿病の概要
高血糖と糖尿病の違いについてご紹介|高血糖の概要
高血糖と糖尿病の違いについてご紹介|糖尿病と高血糖の関係性
高血糖と糖尿病の違いについてご紹介|まとめ
高血糖と糖尿病の違いについてご紹介|はじめに
糖尿病と高血糖は全く無関係なものということはなく、高血糖の延長線上に糖尿病があります。
しかしながら糖尿病にはタイプがあり、一般的に言われる高血糖の原因を改善することができずに糖尿病になるだけではなく、別の要因によっても罹る可能性があります。
この記事では高血糖と糖尿病の違いや診断される数値について、また糖尿病のタイプの分類、高血糖の種類について紹介していきます。
なお今回、糖尿病により現れる具体的な症状については詳しく取り上げないため確認したい方はこちらをご参照ください。
高血糖と糖尿病の違いについてご紹介|糖尿病の概要
糖尿病は、体にエネルギーを送ったり、血糖値を下げる役割のあるインスリンが何らかの要因によって不足したり作用しなくなったりした結果、高血糖の状態が続いてしまい体に様々な障害が表れる病気です。
指定難病とはなっていないものの、日本では糖尿病を重症疾患としており、厚生労働省の2016年における「国民健康・栄養調査」によると、糖尿病有病者は1,000万人、糖尿病予備群もあわせると約2,000万人いるとされています。
また糖尿病は、発症原因に関して明確になっていない部分が多い病気で、予防が難しい部分もあります。
そんな中でも長年の研究やデータによると、遺伝的な要素に加え生活習慣が原因となる部分が多いと見られており、現代の生活スタイルを送る日本人において増加傾向にあります。
糖尿病の厄介なところは、風邪のように自覚症状が現れづらいためかなり症状が進行してから気づくということも少なくないという点です。
しかし糖尿病は完治こそ困難であるものの、早期発見をして早期に正しい治療や食事療法を始めれば、健康な人とほぼ変わらない体で生活できるまで回復できる可能性が高いです。
そのためには、毎年欠かさず健康診断を受けることが大切と言えます。
なお健康診断においては、血液検査で糖尿病の可能性を判断することができます。具体的な判断基準については後述しますが、血糖値とHbA1cにて確認できるため、血液検査が項目に含まれる健康診断を受ける必要があります。
糖尿病のタイプ
糖尿病は1型・2型、そしてその他のタイプに分けられます。
日本においては1型より2型を発症することの方が多く、1型は北欧諸国で多く見られます。
1型は、膵臓のランゲルハンス島という部分に炎症が起こって、インスリンを作る膵β細胞が壊された結果インスリンが全く、あるいはほぼ分泌されない状態となり血糖値が上がってしますタイプの糖尿病です。
このタイプは生活習慣が関係しないため、肥満でなくても発症する人がおり、遺伝による要因は2型より少ないと言われています。
また年齢も幅広く、小児~思春期に多いものの中高年で1型に罹ることもあります。
近年では、ウイルス感染やストレスを溜めることによって免疫機能に異常をきたすという因果関係が強いという見方もされています。
自己免疫は本来、体に入ってきた細菌やウイルスを攻撃して守る役割を持っていますが、様々な起因によって膵β細胞を攻撃対象としてしまう状態となるのが1型です。
2型は、中高年や肥満の人が多く発症する傾向にあります。また1型よりも自覚症状が表れづらく、気づかないうちに進行していることが多いです。
遺伝的な原因もあると考えられていますが、食べ過ぎや運動不足、不規則な生活リズムといった生活習慣やストレスが直接の原因になっていることが多いタイプです。
そのため肥満の人が罹りやすいイメージがあるかもしれませんが、外見が肥満でなくても内臓に必要以上の脂肪が蓄えられるメタボリックシンドロームに該当する人が発症することもあります。
2型は十分な量のインスリンが分泌されなくなったり、分泌されるタイミングが悪かったりという「インスリン分泌低下」、分泌はされるものの本来の効果を発揮しなくなる「インスリン抵抗性」の2種類に分類されます。
2型の場合は生活習慣が関与する可能性が高いため、医師による治療とあわせて生活習慣の改善を続ける必要もあります。
また予防法としては、普段からバランスの良い食生活を摂る、適度な運動をする、ストレスを発散する、規則正しい生活をするということが効果的になります。
その他のタイプとしては「妊娠糖尿病」があります。これは妊娠中に発覚した糖尿病には至っていない糖代謝異常の状態を指しますが、この状態になった人は将来的に糖尿病になりやすくなると言われています。
赤ちゃんに十分な栄養を与えようとすることで高血糖になったり、インスリンを効きづらくするホルモンが胎盤から分泌されることが起因で、出産後は多くの場合で通常の血糖値に戻ります。
もう一つは特定の機序・疾患によるもので、遺伝子異常や膵臓病、内分泌疾患、肝臓病、免疫機序によるまれな病態、薬剤・化学物質、感染症などが起因する糖尿病です。
糖尿病のタイプについてはこちらでも紹介されていたのであわせてご覧ください。
高血糖と糖尿病の違いについてご紹介|高血糖の概要
「血糖」はブドウ糖のことを表しており、そのブドウ糖の量のことを血糖値と呼んでいます。ブドウ糖は通常、血液によって肝臓に運ばれるとグリコーゲンに変化し蓄積されます。
エネルギーが必要になった際に再度ブドウ糖に変化して身体中に運ばれます。
この働きをしているのが膵臓から分泌されるインスリンやその他臓器から分泌されるホルモンです。またインスリンは高血糖にならないようにブドウ糖の量を抑制する役割も担っています。
しかし高血糖な状態が続くことで膵臓はインスリンの量を多くしなければならず、次第に活動が鈍り機能低下を引き起こします。
そうすると十分な量のインスリンが分泌されずブドウ糖の量がコントロール不能になり糖尿病になるというメカニズムです。
当然ながら高血糖の状態を作らなければ上記のような状態にならないのですが、高血糖には普段の生活習慣が大きく関わっていると言われています。
遺伝的な要素もありますが、肥満やメタボな状態が慢性化していたり、運動不足、ストレス過多、偏った食生活、不規則な生活を続けているとインスリンの働きが鈍って高血糖になる危険性が高まります。
高血糖にならないようにするには、バランスの取れた食事や適度な運動、規則正しい生活などを常日頃心がけていく必要があります。
なお糖尿病には1型と2型がありますが、1型は発症の原因が高血糖となることはないものの、糖尿病を発症して高血糖になることはあります。
対する2型は生活習慣によって高血糖状態になってしまうことが大きく関係しているので、発症する原因と高血糖は深く結びついていると言えます。
なおこちらの記事には高血糖が肌に及ぼす影響についても紹介されていたので、気になる方はあわせてご覧ください。
高血糖と糖尿病の違いについてご紹介|糖尿病と高血糖の関係性
糖尿病と判定される基準は血液検査のHbA1c(ヘモグロビン・エーワンシー)の数値が6.5%以上となった場合で、同数値が6.0%以上の場合は糖尿病予備群となります。
ただしHbA1c単体で確定されることはなく、血糖値とあわせて最終的に診断されます。
血糖値に関しては、空腹時血糖値で126mg/ml以上だと糖尿病、110〜125mg/mlで空腹時高血糖と判断されます。食後血糖値で見た場合は200mg/ml以上だと糖尿病、140mg/ml〜200mg/mlは食後高血糖と判断されます。
基本的に人間は食後に血糖値が上昇し、2時間ほどすれば空腹時と同等になります。しかし高血糖の人は2時間異常経過しても高い状態が継続します。
この状態が食後高血糖であり、空腹時の血糖値が正常でも食後高血糖になる人がいます。
食後高血糖は特に脂肪リスクが高いタイプの高血糖と言われており、後述する「境界型」においては特に心血管系疾患が原因となる死亡リスクが高くなるというデータが出ています。
他にもがんや脳卒中、糖尿病性網膜炎の発症リスクを高める、活性酸素の働きを助長する、血管に炎症を起こす、血管壁の働きを低下させる、認知機能に影響を与えるといった様々な原因となり得ます。
健康診断でおこなわれる糖尿病関連の検査は基本的に「早朝空腹時血糖検査」となります。
そのため食後血糖値を調べるのは別途希望するか、医師が実施した方が良いと判断した場合のみとなります。
食後高血糖の可能性を調べるための検査は「75gOGTT(75g経口ブドウ糖負荷試験)」と言われる方法ですが、実際に食事を摂ってから検査をするわけではありません。
絶食して空腹にすることは必要で、まずその状態で一度採血をします。
その後にブドウ糖75gを水に溶かしたブドウ糖液というものを飲み、30分後、1時間後、2時間後に数回採血を実施するというものです。200mg/ml以上を示した場合は食後高血糖と診断されます。
他にも「随時血糖検査」という方法があり、こちらは食事の時間に関係なく採決をおこなって血糖値を測ります。この場合も200mg/ml以上で糖尿病型と診断されます。
糖尿病型の対照は正常型であり特に異常がない状態ですが、もう一つ「境界型」というものがあります。
空腹時血糖値100〜110mg/ml、食後血糖値140〜200mg/mlがその範囲となりますが、この状態は境界型耐糖能異常とも呼ばれ、今後糖尿病になる可能が高いので半年〜1年ごとに検査を受ける必要が出てきます。
また境界型に該当した場合は、自ら生活習慣の改善をすることも検討しましょう。
糖尿病は低血糖と無縁?
ここまで見てきたように糖尿病は高血糖との結びつきが強いので、その逆となる低血糖とは無縁と思えるかもしれません。
もちろん低血糖が糖尿病の原因となること、あるいはその逆において因果関係はありません。
しかし治療中は低血糖に注意しなければいけない状況が発生する可能性があります。
インスリン注射、スルホニルウレア剤といった血糖降下薬を開始した際に特に注意が必要となります。
低血糖になると動悸や冷や汗、震えを起こす他、脳細胞の機能が著しく低下するため意識が遠のいたり、麻痺・痙攣を引き起こしたりもします。症状がひどいと昏睡状態となって呼吸停止となる場合もあるため決して軽視できません。
低血糖状態になった場合はすぐに糖分を摂れる角砂糖や飴、清涼飲料水などを摂取する必要があります。摂取後は割と早めに症状の改善が見られます。
こちらのサイトでは正常型、糖尿病型、境界型について図で詳しく紹介していたのでぜひあわせてご覧ください。
また、こちらでも高血糖・低血糖と糖尿病の関係性について紹介されていたのであわせてご覧ください。
高血糖と糖尿病の違いについてご紹介|まとめ
最後に高血糖と糖尿病についてまとめます。
- 糖尿病と高血糖は関係が深く、特に2型は高血糖の延長線上にある。
- HbA1cは6.5%以上で糖尿病、同数値が6.0%以上で糖尿病予備群
- 空腹時血糖値で126mg/ml以上で糖尿病、110〜125mg/mlで空腹時高血糖
- 食後血糖値は200mg/ml以上で糖尿病、140mg/ml〜200mg/mlは食後高血糖
- 糖尿病はHbA1cと血糖値の両方で診断される
- 糖尿病の治療により低血糖状態になる可能性もある
東中野駅近周辺で糖尿病の検査や治療ができるクリニックを知りたい方は、ぜひこちらの記事をご参照ください。
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